RESPIGHI: Concerto Gregoriano / Poema Autunnale その32009年10月20日 07時44分

英DECCA 443 324-2 Respighi : Concerto Gregoriano &  Poema Autunnale
英DECCA 443 324-2 CD, (P)(C)1995
Saint-Saens : Violin Concerto No. 3
Respighi : Concerto Gregoriano & Poema Autunnale

Pierre Amoyal(violin) - http://www.amoyal.com/
Charles Dutoit - http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Dutoit
Orchestre National de France
http://fr.wikipedia.org/wiki/Orchestre_national_de_France

レスピーギのグレゴリオ聖歌風協奏曲の本命盤・・・といえばこの演奏だと思うが、残念ながら既に入手困難となっているようだ・・・米アマゾンでもマーケット・プレイスで1枚出ているだけだし・・・1993年の録音、1995年発売のCD・・・15年近く前のCDだから仕方ないのかな?ついこの間新譜で買ったように思っていたのだが・・・

グレゴリオ聖歌風協奏曲はレスピーギの自信作だったようだが、「秋の詩」と同様、ほとんど忘れ去られていた作品のようで、1990年代に入るまで殆ど演奏されていなかったのではないかと思う。

LPではまず見かけないし。手元にあるCDで最も古いのは、NUOVA ERA2238(1968年録音 Uto Ughi(violin), Mario Rossi/Orchestra Sinfonica di Torino della RAI)だが、これはライヴのエアチェックによるプライヴェート音源のようで音質は劣悪。

1980年代に入り、Malco Polo がこの曲を取り上げた↓。
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/10/17/4639040

1990年代になってようやくリバイバルの機運が高まったのか、Chandos が積極的にレスピーギの曲をカタログにし出し、この曲もそのカタログに加わった↓。
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/10/17/4639050

で、今回取り上げる英DECCA盤について、Amoyal, Dutoit とこの曲を前述のChandos 盤とそう変わらない1993年に収録している・・・が、リリースはその2年後の1995年・・・まあ、メジャーレーベルでは珍しいことではないだろうが・・・。どちらかというと、サン=サーンスの方がメインかもしれないなあ・・・

グレゴリオ聖歌風協奏曲は曲名の通り、「グレゴリオ聖歌」風の主題によるヴァイオリン協奏曲であり、往古の旋法に近代管弦楽法の衣を被せた「温故知新」の Respighi ならではの傑作。ちなみに、レスピーギをグレゴリオ聖歌に注目させたのはエルザ夫人だそうな・・・彼女も作曲家であり、レスピーギ未完のオペラ「ルクレツィアの陵辱」を補筆完成させたのも彼女である。

弦楽セクションの儚いppから始まる幽玄さに満ちた導入部、そして何故か懐かしさを感じさせる旋律をオーボエが奏でると、中世へタイムスリップしたような錯覚を呼び起こされる。

1楽章に続けて演奏される2楽章はグレゴリオ聖歌の美しいァイオリンソロから始まり、ヴァイオリンとオーケストラがメロディーをリレーのように引き継いで演奏する作りとなっており、この協奏曲の一番の聴き所。

勇ましく始まる3楽章は何故か中華風?の妙な雰囲気が醸し出されてしまうが、これは旋法によるものだろうか・・・

Amoyal と Dutoit 、そしてフランス国立管弦楽団による演奏はツボにはまっているというか、これ以上の演奏は考えられない・・・といった出来。これが実演で聴けたらなあ・・・

残念なのは「秋の詩」。素人でも分かる致命的なミス(7曲目の5:40前後)が修正されないままCD化されているという「珍演奏」でもある。Amoyal もなんとなく弾きにくそうに感じる・・・「グレゴリオ聖歌風協奏曲」で聴かせた美演はどうした?と言いたくなるような出来である。

プロデューサーやアーティストがこんな演奏をO.K.したことが信じられない。こういうミス・テイクは差し替えて然るべきだが、セッションの時間が無くなって録り直せなかったのか・・・全く持って残念なことではある。

では。

RESPIGHI: Concerto Gregoriano / Poema Autunnale その22009年10月17日 10時45分

Chandos CHAN9232/RESPIGHI: Concerto Gregoriano & Poema Autunnale
RESPIGHI
Poema Autunnale, Concerto gregoriano, Ballata delle gnomidi
Lydia Mordkovitch (Violin)
http://www.answers.com/topic/lydia-mordkovitch
http://www.britten-competition.co.uk/Old/2004/prejury/lydia.htm
BBC Philharmonic Orchestra
http://www.bbc.co.uk/orchestras/philharmonic/
Sir Edward Downes
http://en.wikipedia.org/wiki/Edward_Downes

レスピーギの「秋の詩」で一番好きな演奏がこれ。文句の付けようが無い出来で、ソリストとオケの息もぴったり合っている。

1993年5月の収録。このCDを買ってからもう10年も経ってしまった・・・なんか過去の回想ばっかやな~

ちょうどこの頃がレスピーギのリバイバルが最も盛んだった頃かな?まだこの頃はエルザ夫人も存命だったわけだし・・・特にChandosがこのアルバムや三部作以外の管弦楽曲をどんどん出してきて、それを貪るように聴いたのも懐かしい想い出ではある。ちなみにこのディスク、Chandos の1993年~1994年シーズン最大の売り上げを記録したヒット・ディスクだそうな。

In Tune No.23(April, 1996) に Lydia Mordkovitch のインタビュー(インタビュアーは Heuwell Tircuit 氏 - 「分析的演奏論」 音楽之友社 1973年 の著者ですな)が掲載されている。(この In Tune という雑誌は No.56(1998年)で終わりを告げた。)

このインタビューで、Lydia Mordkovitch は「・・・私は『グレゴリオ聖歌風協奏曲』や『秋の詩』などという曲をレスピーギが書いているということさえ知りませんでした。『秋の詩』は50年間も演奏されたことがないのです。ほんとうに素晴らしい曲で、協奏曲も豊かな曲だったので、私は一目惚れしてしまいました。・・・」と言っている。

他にも音楽雑誌等で、エッセイやエルサ夫人のインタビューも掲載されていた。In Tuneの記事やレコ芸のエッセイはリアルタイムで見たが、音楽の友に掲載されたエルサ夫人へのインタビューは後に知って図書館で閲覧しコピーをとったもの。

レコ芸1993年9月号
三浦敦史の音楽切抜き帖
連載 Scrum Side 129
追憶のレスピーギ - 亡き夫を偲ぶ99歳のエルサ未亡人

音楽の友1994年12月号~1995年2月号
レンツォ・アッレーグリの対談シリーズ 連載 音楽に捧げて
Interviewd by Renzo Allegri, 訳・小瀬村幸子
第4回 レスピーギ夫人
①大作曲家レスピーギとの結婚
②トスカニーニへの崇拝と絶望
③レスピーギ、56歳の死

レスピーギに関する文献は多くない。エルサ夫人が1962年出版したレスピーギの伝記も入手困難なようだし、日本語訳も出ていないようだ。あとは上記のような雑誌記事やネット上の情報を探すしかないだろう。ネットの情報というと・・・

Ottorino Respighi
http://en.wikipedia.org/wiki/Ottorino_Respighi

Elsa Respighi
http://en.wikipedia.org/wiki/Elsa_Respighi

Official website of Ottorino Respighi
http://www.ottorinorespighi.it/

くらいかなあ・・・あとは小生のか?(大した情報はありまへん)

Elsa e Ottorino Respighi
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/Respighi.htm

レスピーギとは全然関係ないが、このディスクでBBCフィルハーモニックを指揮している Sir Edward Downes については最近衝撃的なニュースを目にした。クラシックジャーナル39号のNEWS欄「英国の有名指揮者が夫婦で『安楽死』に」という記事である。

詳しくは下記のサイトを見るのがよいでしょう。

BBC NEWS - Worry at couple's double suicide
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8151006.stm

BBC Philharmonic - Sir Edward Downes Conductor Emeritus
http://www.bbc.co.uk/orchestras/philharmonic/about_us/sir_edward_downes.shtml

Sir Edward Downes
http://en.wikipedia.org/wiki/Edward_Downes
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BA

「おかか1968」ダイアリー~いっそブルレスケ~
サー・エドワード・ダウンズ(指揮者) 妻とともに「安楽死」
http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2009/07/post-ddfb.html

是非はともかく、死が二人を別つまで・・・ということか。スイスにこんな機関があるとは初めて知りましたワ・・・

Dignitas (euthanasia group)
http://www.dignitas.ch/
http://en.wikipedia.org/wiki/Dignitas_%28euthanasia_group%29

では。

RESPIGHI: Concerto Gregoriano / Poema Autunnale2009年10月17日 09時03分

Malco Polo 8.220152, RESPIGHI: Concerto Gregoriano / Poema Autunnale
RESPIGHI: Concerto Gregoriano / Poema Autunnale
西崎崇子(ヴァイオリン)
http://www.naxos.co.jp/nishizaki.htm
Choo Hoey - http://en.wikipedia.org/wiki/Choo_Hoey
Singapore Symphony Orchestra - http://www.sso.org.sg/

NML - http://ml.naxos.jp/album/8.220152
CD - Malco Polo 8.220152
http://www.naxos.com/catalogue/item.asp?item_code=8.220152

秋と来れば、この曲だなあ・・・最も好きなヴァイオリン曲は?と聴かれたら躊躇無くこの2曲と答えるよ、俺は。

レスピーギというと「ローマ三部作」が最も有名だが、他にもいい曲は沢山ある・・・が、実演で取り上げられることは滅多にない。ただ、CD時代になってリバイバルというか、「ローマ三部作」以外の曲も数多く発売されているのは有り難いことではある。

8年前はレスピーギに関してこんな事も書いたっけ・・・
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/Respighi.htm

このCDアルバムは手元にない。"Physical Release: 12/1984"とあるので、初発売は25年前になってしまうのかな・・・初期のディジタル録音でもあり、また当時はレスピーギの「秘曲集」として Malco Polo に録音されたと思う。25年前は恐らくこのアルバムでしかこの2曲は聴けなかったと思う。

CDはNaxosのカタログからは消えている。"Currently not available on CD"とあるから・・・でも米国のアマゾンではまだ在庫があるようだ。
http://www.amazon.com/RESPIGHI-Concerto-Gregoriano-Autunnale-Demand/dp/B0000045RZ/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=music&qid=1255736657&sr=8-2

今となっては他に優秀な演奏があるので、特にこのアルバムを推す理由もないが、日本人ヴァイオリニストの西崎と指揮のChoo Hoey・シンガポール交響楽団という組み合わせは、今となっては貴重な記録と言えないこともないかもしれない。

グレゴリオ聖歌風協奏曲の出来はまあまあ、秋の詩は中間部分のノリが今ひとつ・・・という感じだが悪くはない。こうしてNMLで手軽に聴けるのは有り難いことだ。