"The Fabulous Philadelphians:From Ormandy to Muti" 1981年2015年11月15日 08時00分

 オーマンディは自らディスカヴァー したムーティ にフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督をバトン・タッチ、1979-80年シーズンを以って勇退し同楽団の桂冠指揮者(Conductor Laureate)になった後も亡くなる前年の1984年まで同楽団に客演しました。

 しかし、オーケストラ音楽監督交代劇?に於いて音楽監督が円満に勇退、しかも任期中に後継候補者を見つけて、音楽監督自らが後継者として指名する・・・というのは実に稀なケースと言えるでしょう。

 オーマンディは1971年のヨーロッパ・ツアーでムーティを「ディスカヴァー」し1972年にフィラデルフィア管弦楽団に初登場させ、1976年に主席客演指揮者(Guest Principal Guest Conductor)に指名、1979年に楽団から音楽監督の指名を受け、1980-81年シーズンから就任・・・という、音楽監督就任までに実に慎重な「試用期間」を置いています。

 オーマンディは1960年代後半くらいから自身の後継者(フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督)を探していたと思います。候補者として、ジェイムズ・レヴァイン(メトロポリタン歌劇場の音楽監督が忙しすぎて断念)、小澤 征爾、ウォルフガンク・サヴァリッシュ・・・等々、あらゆる機会に何らかの働きかけをしていたようですね。

 アメリカのオーケストラの音楽監督は重責であり、ムーティも自伝の中で「・・・この役職の仕事はまるでピラミッドの頂点を作り上げるようで、様々な決断を下さなければならないし、絶対的な責任を負う立場であり、一度マネージメントと検討したことはオーケストラの命を左右するほどのものだった。プログラム、町との関係、演奏旅行、レコード録音と何から何まで決めなければならなかった。・・・」と記しています。

 音楽監督交代劇?は、楽団からの「解雇」(集客力・楽団理事会やオーケストラ楽団員との関係・・・等々)、「喧嘩別れ(音楽監督の方から三行半を突きつける)」「任期中に死去」・・・いずれも、そうなると楽団側は後任の音楽監督探しに奔走するわけですし、最近は音楽監督が空席であるオーケストラも珍しくありません。何故なら、音楽監督は重責であり、そんな重責を担いたくない・・・という指揮者の方が多数・・・なのかもしれません。

 ベルリン・フィルの「終身指揮者」を自ら辞任したカラヤンの場合はこれまた特殊な事例(「終身指揮者」という契約も他に例がないでしょうが・・・)と言えるでしょうが、カラヤン時代のベルリン・フィルでは「音楽監督」的な仕事は楽団のインテンダント(「総支配人」「事務局長」)が殆どしていたようで、そういう意味でカラヤンはベルリン・フィルの「終身指揮者」ではあっても事実上「音楽監督」ではなかったとも言えるようです。まあ、ベルリン以外のポストも多数得て、様々なプロジェクトを立ち上げていたカラヤンですから、オケの「音楽監督」的な仕事は物理的に出来なかったでしょうし、本人もベルリンに「縛られる」つもりはなかったようです。詳しくは 中川右介著「カラヤン帝国興亡史」(幻冬舎新書 2008年3月)をどうぞ。同著者の「カラヤンとフルトウェングラー」(幻冬舎新書 2007年1月)も興味深いですな。

 そういう意味で、「オーマンディ=フィラデルフィア」「カラヤン=ベルリン・フィル」と並び称されることもあったこのコンビですが、「フィラデルフィア管弦楽団に生涯の大部分を費やして後任の音楽監督まで探した上で円満勇退」という、正に「オーケストラ・マン」として生涯を終えたオーマンディと、「ベルリンを拠点としつつも、それに専念・縛られることを望まず、様々なプロジェクトを立ち上げ自身の夢を追いかけ、最後は自らベルリンの『終身指揮者』を喧嘩別れのような形で手放しつつ、亡くなるまで新しいプロジェクトに邁進しようとした」カラヤンとは、実に対照的と言わざるを得ませんねえ・・・

 両コンビはともに多くの録音を遺しておりますが、「オーマンディ=フィラデルフィア」の場合は定期演奏会等のコンサートの後で録音(アメリカのオーケストラ録音は「レコード会社経費節減」の為、このような手法が多かったようです)するのに対して、「カラヤン=ベルリン・フィル」(ベルリン以外もでしょうが)の場合はレコーディング・セッションがコンサートの「リハーサル」を兼ねており、こちらは逆に「楽団の経費節減」(「リハーサル」経費はレコード会社が負担)をも目的としていたようです。

 どちらが「録音」という成果物に対して良いのかは単純に比較も評価も出来ませんが、ジョン・カルショーが自伝(「レコードはまっすぐに」(原題:Putting the Record Straight) 山崎 浩太郎 (翻訳)  学習研究社 2005年4月)で興味深いことを語っています。当時、アーティストのレコード会社との「専属契約」が強固なもので、「理想的な」配役のオペラ録音が出来ない状況を憂い、こんな提案をしてます。

 ・・・複数のレコード会社が「専属契約」しているアーティストを持ち寄り、歌劇場と協力して出資(リハーサル費用等)した上でオペラを上演し、その上演終了後、そのキャストでレコーディングし、その録音はアーティストを持ち寄った各社が発売する。理想的な配役でのオペラ・レコーディングが可能であり、セッション参加のキャストは舞台の経験も録音に活かせる・・・

 そういう意味では、コンサートの「リハーサル」の結果としてのレコードより、コンサート後のレコーディング・セッションによる録音の方が良さそうな感じがしますね・・・

 閑話休題

 オーマンディがフィラデルフィア管弦楽団音楽監督を勇退しムーティにバトンタッチしたその翌年の1981年、"The Fabulous Philadelphians:From Ormandy to Muti, five consecutive monthly television specials"という番組が制作され、フィラデルフィアのWHYY-TV(アメリカのPBS)とWUHY-91FMで放送されています。

"The Fabulous Philadelphians:From Ormandy to Muti,"
five consecutive monthly television specials

放送日  番組タイトル
2/25  "Transition"
3/25  "Recording Session"
4/22  "Requiem"
5/27  "Ormandy and Dylana Jenson"
6/17  "Muti and Alicia de Larrocha"

 番組の存在は知っていましたが、これまで観る事が出来ずに悶々としていました・・・が、ひょんなことからこのプログラムの一部 4回目の"Ormandy and Dylana Jenson" を観る事が出来ました。しかも、フィラデルフィア名所案内のようなオープニングには当時の楽団員まで出演していて、びっくりしました。

 ヴァイオリニストの Dylana Jenson さんが Youtube にアップされてました。彼女は、1980年12月9日のフィラデルフィア管弦楽団カーネギー・ホール演奏会でオーマンディに起用されシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏しているので、このフィラデルフィアの音楽アカデミーのライブはその前後の演奏と思われますが・・・ちなみに、翌1981年に同じ顔ぶれでスコッティッシュ・ライト教会(旧タウン・ホール)にてレコーディングしております。

 彼女とオーマンディのリハーサルの映像、アカデミーでの演奏会、演奏後のアカデミー舞台袖・・・実に興味深い映像です。これだけでなく、是非他の4回分も観てみたいものですが・・・

 ちなみに、オーマンディ時代のフィラデルフィア管弦楽団の定期演奏会は当時WFLN(現在はWRTIに引き継がれてます)で放送され、テープ収録もされて全米各地の放送局で放送されたそうです。そういうテープから彼らの演奏が復刻されると良いのですが・・・(たぶん、フィラデルフィア管弦楽団のアーカイヴにあると思いますが・・・)

以下、ご参考・・・

オーマンディとテレビと言えば、こんなサイトもありますね。
Coming to the Small Screen: Ormandy and Television
Curated by Richard Griscom
Correspondence and photographs related to Eugene Ormandy's television appearances and his efforts in the 1950's and 1960's to gain more exposure on the "small screen."
オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団のホーム(Academy of Music, Philadelphia)に於けるテレビ収録もかなり行われていたと思われるので、ビデオテープが再生不能にならないうちにディジタル・メディアへのアーカイヴ化を行って欲しいものですが・・・

こちらはオーマンディ生誕100年記念サイトですが、まだまだ健在なのは嬉しいことです。
Eugene Ormandy A Centennial Celebration

最近面白いサイトを見つけました
Penn Library Mediascape
"Ormandy"で検索してみて下さい。興味深いフィルムを閲覧できる・・・かも

ここも、一度は行って見たいですね。
Eugene Ormandy Music and Media Center

※フィラデルフィアのラジオ局WFLNについて・・・
 1949年にクラシック音楽専門FM局(95.7MHz)として開局し、1956年に同じプログラムを流すAM局(900kHz)も始めましたが、1985(1988年?)年に売却されてWDVTと変わり、1995年~1997年は少なくとも5回以上売却が繰り返されて、放送内容もよりコマーシャル向き(クラシック音楽は減っていったと思われる)に変わっていったそうです。
 そして1997年に現在のオーナーに売却され、クラシック音楽のアーカイヴはWRTIに売却され現在はWBEN-FM となっている。(以上、Wikipedia WFLNWDVTWBEN-FMWRTI の記載より引用)
 ファンとしては、WRTIに売却されたクラシック音楽のアーカイヴ・テープが気になるところである。恐らく、フィラデルフィア管弦楽団の放送録音がここにあるはずなので、ちゃんとデジタル化して後世にその遺産を継承して欲しいものですね。

では。

リッカルド・ムーティ自伝: はじめに音楽 それから言葉(音楽之友社 2013年10月)2013年11月16日 04時40分

オーマンディ掲示板に書いたものですが・・・

音楽之友社より、リッカルド=ムーティの自伝が出ましたね。

リッカルド・ムーティ自伝: はじめに音楽 それから言葉
田口道子訳(音楽之友社 2013年10月)
アマゾン

フィラデルフィア管弦楽団との関わりについては「Ⅵ.新世界のための音楽」に1章割いてますが、全体としてはボリューム控えめで、フィラデルフィア管弦楽団とのスナップ写真が無いのが残念(オーマンディとのスナップ写真は1枚ありましたが)

こちらと合わせて読むのが宜しいかと。
Riccardo Muti: Twenty Years in Philadelphia(amazon.com)

ムーティと云えば、今タワレコからCSOとのヴェルディ「レクイエム」が無料配信されていますね。

以上、ご参考まで

ムーティ&フィラデルフィア - フランクのシンフォニーと交響詩2013年09月21日 07時20分

たまたまタワーで見かけた1枚。こんなのあったのね・・・

Universal Music EMI Classics TOCE-16362 ムーティ&フィラデルフィアのフランク
Universal Music / Universal Classics & Jazz
EMI Classics クラシック名盤999 TOCE-16362 (2013.5.29)
 FranckSymphony in D minor, Symphonic Poem"Le chasseur maudit"
 Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra
 Recorded: 26, October 1981, The old Met, Philadelphia

 クラシック大レーベルのEMIDGGDECCAPHILIPS(あ、DECCAに統合されたか・・・)が仲良くUniversal Musicに統合されるとは・・・時代は変わりますなあ・・・米Columbia MasterworksRCA Red Seal も今では仲良くSony Classicalだし・・・

このジャケットデザイン、オリジナル盤のものではなく、確かEMI100周年記念として企画された Red Line シリーズのものだったと思う。EMI国際リリースの盤はそれなりに練られた意欲的な企画盤であったが、日本国内リリースではそのあたりのコンセプトがごっそり抜け落ちた、単なる廉価盤になってしまっていたような・・・

こうして、クラシック名盤999として再登場して、ますます意味不明のジャケット・デザインになってしまったが、国内の担当者がそういう歴史を知らず、オリジナル・ジャケットを探す手間も気力も無ければ仕方が無い・・・が、この音源が廉価盤として入手出来たのは有難いことではある。

閑話休題

はっきりいって、フランクのこのシンフォニーは苦手である。作曲者の名前とは裏腹の重苦しさがどうも・・・でも、この演奏を聴いて、少しは食わず嫌いを改める気にはなった・・・音楽監督就任間もない貴重な録音となってしまったが・・・では。

The Philadelphia Orchestra Sound!2011年05月18日 07時46分

久しぶりに音楽の話題を・・・このブログ、本来は音楽がメインなんですけどね。

オーマンディ掲示板たんたかたん さんの書き込みで知りました。

youtube - The Philadelphia Orchestra Sound!
http://www.youtube.com/watch?v=Gh0BxS_RuDU

画質はあまり宜しくありませんが、鑑賞に支障は無いでしょう。100周年記念の番組のようですね。こういう映像を見ると、オーマンディからムーティへの音楽監督交代時の特集番組も見てみたくなります。

今は時間がありませんが、またゆっくり見てみます。

Muti und Philadelphia - Beethoven Symphonie Nr.6 1987年2010年07月28日 08時00分

今日はマエストロ・ムーティの誕生日なんですなあ・・・1941年生まれだから、今年2010年で69歳・・・ということか・・・

・・・ということで、1987年録音のベートーヴェン田園交響曲」を・・・

EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 Jacket
EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 LP (P)1980
Beethoven Symphony no.6 "Pastorale"
Riccard Muti/The Philadelphia Orchestra
recorded at Met Church, Philadelphia, 1978

以前取り上げた国内盤ジャケットとは微妙に文字の大きさや配置が違うのが面白い。

EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 Jacket Sealed Logo
日本国内に輸入された際、哀れHMV のロゴは 無粋な EMI シールで隠されてしまっていた・・・

EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 Jacket Liner Notes

ジャケット解説も・・・


EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 Jacket Liner Notes 黒塗り

恐らく、His Master's Voice 等と書かれていたであろう部分はマジックで黒塗り・・・

EMI ELECTROLA/HMV 1C 063-03 501 Label

レコードラベルも哀れ・・・ま、仕方ないねえ。

1978年・・・ということは、もう22年前の録音か・・・時代の流れを感じてしまうなあ・・・演奏は前回聴いた時と変わらず、奇を衒わず直球勝負でリピートもきっちりと繰り返していおり、覇気に溢れた好演であろう。ただ、後年のディジタル録音による全集があるからCD化されることはたぶん無いのが残念ではあるが・・・

遅ればせながら、誕生日おめでとう!マエストロ・ムーティ

Beethoven Symphony no.6 "Pastorale" & no.7 , Riccard Muti & The Philadelphia Orchestra2010年01月04日 12時32分

今日の名古屋は、朝は曇ってましたが今はいい天気です。洗濯物も乾くといいな・・・

さて、久しぶりに Muti/Philadelphia のLPを引っ張り出しました。ブログでこのコンビの録音を取りあげるのは今回が初めてです。ホームページに以前書いた物があるのですが・・・
英EMI ASD3646 jacket
EMI/HMV ASD3646 LP(P)1979
Beethoven Symphony no.7
Riccard Muti/The Philadelphia Orchestra
recorded at Met Church, Philadelphia, 1978

マエストロ・ジーンと政権交代?直前時期の収録です。この10年後にベートーヴェン交響曲全集(アメリカのオーケストラとして最初のベートーヴェン交響曲CD全集)を録音する訳ですが、この時期は他に田園交響曲を録音したのみです。この時期にベートーヴェンの交響曲全曲を収録する意図があったかどうかは、?ですな。

この録音は全集で再録音している曲なので、今後CD化される見込みは恐らく無いでしょう・・・が、まだオーマンディが音楽監督時代のフィラデルフィア管弦楽団と若手だったマエストロ・ムーティの貴重な録音でもあります。通常省略する繰り返しもきちんと演奏しているのは、原典主義者?ムーティ面目躍如・・・ということでしょうか。

英EMI ASD3646 jacket Liner Notes
EMI/HMV ASD3646 Jacket裏解説

フィラデルフィア管弦楽団も RCA Red Seal の専属から離れてマエストロ・ジーン と共に EMI と録音契約を結んだことにより、録音会場がそれまでの Scottish Rite Cathedral(旧Town Hall) から Old Met に移ったことにより、 "The new Philadelphia Sound" をLPジャケットに謳う共に、ライナー・ノーツにも録音会場の説明(右中央 四角で囲まれた部分)を加えています。 EMIとしても力を入れていたのでしょうね。

英EMI ASD3646 Label
EMI/HMV ASD3646 Stamp Nipper? Label

ちなみにレコードラベルは、切手タイプのニッパーマークと呼ばれる物です。年代からしてこれが初出レーベルでしょう。ちなみにこれより前の時期のラベル(「半円ニッパー」とか「セミサークル」、「ホワイト・ゴールド」)とかは結構値が張って評価も高いらしいですが、このラベルはその前のラベルより「音が良くない」という評価のようで、値もそれなり・・・みたいです。

英EMI ASD3646 Inner Sleeve
Inner Sleeve

英EMIのインナースリーブです。レコード取り扱いに関しての注意事項が記載されています。こういうのもお国柄や時代の変化が見て取れますな・・・

さて、続いては、昨年暮れも押し迫った頃、ハイファイ堂でバッタリ出会った、長年探していたレコードです。

東芝EMI Angel EAC-80568 Jacket1
東芝EMI/Angel EAC-80568 LP (英EMI/HMV ASD3501 LP)
Beethoven Symphony no.6 "Pastorale"
Riccard Muti/The Philadelphia Orchestra
recorded at Met Church, Philadelphia, 1978

後年の全集の影に隠れてしまい、殆ど語られることの無い録音ですが、前述の7番シンフォニーと同様、このLPの存在も知ってはいました。どうしても欲しい・・・という程ではないのですが、一度は聴いてみたいなあ・・・と気長に探していましたが・・・

たまたま寄ったハイファイ堂 レコード売り場で、たまたま補充された新入荷LPのなかにコレがあったのでびっくりしました。LPが向こうから目の前に現れたのですから・・・勿論捕獲?したのは言うまでもありません。こんなともあるんですなあ・・・

現在に至るまで・・・いや、今後もまずCD化される見込みのない録音ですが、これもオーマンディが音楽監督時代のフィラデルフィア管弦楽団と若手だったマエストロ・ムーティの貴重な録音であり、こちらもきちんと繰り返しが演奏されています。

演奏は奇を衒わず直球勝負・・・こちらも若々しい覇気に溢れた好演といえるでしょう。

東芝EMI Angel EAC-80568 Jacket
東芝EMI/Angel  EAC-80568 ジャケット裏解説

解説は、武田明倫氏。「さわやかにしてドラマティックな・・・ -ムーティ・フィラデルフィアの≪田園≫-」がそのタイトルである。恐らく、オーマンディの音楽監督辞任とムーティの音楽監督就任が発表された後に書かれた物と思う。新しいコンビへ期待を寄せる・・・といった感じの解説である。

東芝EMI Angel EAC-80568 Label
東芝EMI/Angel  EAC-80568 Label

レコード・ラベルは、東芝EMIお馴染みのRecording Angel。もともと国内盤は海外盤より評価が低く、市場価格もかなり控えめなので、買う方としては有り難いことである。このLPはコンディションも良く音もまずまずだ。

このLPを探し始めてから8年、「待てば海路の日和あり」とは良く言ったものである・・・それでは。

フィラデルフィア管弦楽団 1981年の来日公演2009年10月06日 07時29分

フィラデルフィア管弦楽団 1981年来日公演のパンフ
2ちゃんねるの

【いい意味の】オーマンディ【オケの錬金術師】
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/classical/1231778100/

で、YouTube にアップされている、フィラデルフィア管弦楽団 1981年の来日公演(1981年6月5日、NHKホール)のアンコール映像を知りました。ムーティが音楽監督に就任して初の来日公演ですな。

Muti / Philadelphia - Verdi - Jun. 5, 1981 - NHK Hall, Tokyo
http://www.youtube.com/watch?v=nHIHXtn1o3Y

ホント、YouTube は何でもありですなあ・・・

んでは

名演奏家たちのタックル・ランド2008年11月14日 06時16分

1980年代後半だったかな・・・

レコード芸術誌のアタマの方に見開き2ページで連載されていた、砂川しげひさ氏のマンガがあった。毎回楽しみにしていた記憶がある。

砂川しげひさ
http://sun.cside.com/

これらのマンガは氏のサイトで今でも見ることが出来る。氏曰く

「いまから30年前、こういうナンセンス漫画も、じゅうぶん、世のなかに受け入れられていたと、 知ってもらえるだけでも意義アリであります。」

う~ん、今はこういうのはダメなのだろうか・・・面白いのにねえ。ま、興味のある方は見て下さいな。

名演奏家たちのタックル・ランド
http://sun.cside.com/koten/tacle/1.html

ムラヴィンスキーVSオーマンデイ(オーマンディの方)
http://sun.cside.com/tackle/ormande/1.html

ムラヴィンスキー と オーマンディ 、作り出す音楽は全くの正反対・・・というイメージを持っていたが、最近はそうでもないかな・・・という気もしている。うまく説明できないが。

この二人を対比させた氏の酔眼には恐れ入る。でも、ファーストネームは同じ(エフゲニー と ユージン )だ。他にも、

エフゲニー=スヴェトラーノフ
オイゲン=ヨッフム

とおんなじ名前の演奏家は多いですな。おフランスではこの名前はナンと呼ぶのでしょうな?

んでは。

Muti & Philharmonia の チャイ3 を聴く その12008年10月20日 07時24分

EMI ASD3449 LP Jacket
Tchaikovsky Symphony no.3 "Polish"
Riccard Muti/Philharmonia Orchestra
HMV/英EMI ASD3449( LP (P)1978 )

1970年代後半、マエストロ・ジーンと、そして当時 フィラデルフィア管の Guest Principle Conductor でもあった ムーティ は、奇しくもチャイコフスキーの初期交響曲3曲を録音している。

マエストロ・ジーンはフィラデルフィア管と RCA Red Seal に、ムーティはフィルハーモニア管(当時音楽監督を務めていた)とEMI に それぞれ録音している。

ムーティはフィルハーモニア管とチャイ4~6、そしてマンフレッド交響曲も録音しており、フィラデルフィア管ともチャイ4~6を録音している。CDでチャイコの交響曲全集が複数出ていると思うが、後期交響曲がどちらのオーケストラの演奏のものが入っているかで違いがあるのだろうか・・・。

紛らわしいのは、オーケストラの略称がどちらも "PO" になってしまうことで、時々双方を勘違いしたインフォメーションを見かけることがある。まあ、そんなことはどうでもいいのだが・・・

Riccard Muti
http://www.riccardomuti.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3

南イタリアの申し子~リッカルド・ムーティ
http://il-figlio-del-sud.cocolog-nifty.com/bravomuti/

Bravo Muti
http://www5f.biglobe.ne.jp/~lacameratamuti/index.htm

フィルハーモニア管弦楽団
http://www.philharmonia.co.uk/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3

このLPは、SQ Quadraphonic のエンコードがかかっている。2チャンネルステレオと互換性があり、この出力にエンコーダーを繋げると SQ Quadraphonic による 4チャンネルサウンドが楽しめることになる。

この方式は当時CBS(CBS/SONY)も参入しており、バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックとの「惑星」が SQ Quadraphonic のレコードとして発売されていたのは懐かしい思い出である。

まあ、結局、4チャンネルは方式が乱立して4チャンネルそのものがポシャッテしまった。現在は 5.1ch として蘇っているが・・・。

確か、この方式が出始めた1970年代より、日本コロムビアがクラシック音楽のレコーディングを4チャンネルで録音しており、当時の音源がSACDのマルチチャンネルフォーマットで出ている例もあるので、当時の音源をマルチチャンネルで聴くのも面白いかも。

ちなみにこのLP、HMVレーベルなので、当然日本では日本ビクターの商標とバッティングしてしまうので、わざわざ日本ビクターの「承認」ラベルが貼ってある。

このシールくらいならまだいいけど、酷いのになると商標の部分を無粋なシールで覆い隠してしまったり、レコードレーベルにもべたべたとシールが貼られてしまう。まあ、それもLP時代の懐かしい思い出になってしまったが。

4チャンネルステレオ
http://ja.wikipedia.org/wiki/4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%AA

Muti & Philharmonia の チャイ3 を聴く その22008年10月20日 07時23分

EMI ASD3449 Label
レコードラベルは、切手のような装いでニッパー君が座っているデザイン。EMIは、イギリス、フランス、ドイツでそれぞれレーベルデザインが異なるので面白い。

日本とアメリカは RCA Red Seal と 日本ビクターが ニッパー君の商標を持っていたので "Recording Angel" のエンジェル・レーベルとなる。

このどちらのレーベルも最近はトンと見かけなくなってしまったのは寂しい気もするが・・・

さて、肝心の演奏なんだけど、きびきびと躍動的な演奏で、ヤンソンスとオスロ・フィルの演奏と傾向が似ている。でも、やはりイタリア人ということか、中間楽章はしっかりカンタービレしている。

終楽章の追い込みなんか熱血漢ムーティという感じで、こういう演奏は好きだなあ。ブラスの迫力はフィラデルフィアには及ばないけど、フィルハーモニアも健闘しており、これはいい演奏だ。

残念ながらLPは終楽章のいいところで音が混濁してしまうので、CDでも探そうかな・・・たしか、Disky で安く全集が出ていたように思うが・・・

んでは。