Ormandy & Philadlephia - Saint-Saëns Symphony No.3 "ORGAN" 1973年2010年07月25日 09時50分

とてもクラシック音楽とは思えない・・・この・・・何か・・・考え違いをしているのではないか?と思えるジャケットデザインで世に出てしまったこの演奏・・・一体何を考えていたのだ、RCA Red Seal は・・・

RCA Red Seal ARL1-0484 Jacket
RCA Red Seal ARL1-0484(C)1974 Dynaflex LP

さて、このアルバムの煽り文句を順を追って(タイムボカン風に)解説?しよう

RCA Proudly Presents A SUPER SOUND SPECTACULAR!
THE GREATEST SOUND ON EARTH!

Paramount Pictures 映画の The Greatest Show on Earthが元ネタ?だろうか。Proudly Presents なんてやってるから余程力が入った企画・・・なのだろうか・・・そのベクトルの向きが・・・

105 MAGNIFICENT VIRTUOSOS
THE FANTASTIC PHILADELPHIA ORCHESTRA

看板に偽りは無いが、オーケストラ団員の苦笑を誘ったことは容易に想像できるであろう・・・

conducted by
THE GREAT MAESTRO EUGENE ORMANDY

なんかプロレスラーみたいでちょっと・・・ねえ・・・

plus THE FABULOUS VIRGIL FOX
THE ROGERS TOURING ORGAN 400lbs. 144 SPEAKERS 56 STOPS.

FOX を引っ張ってきたのがこのLPのウリの一つなんだろうけど・・・怪力男(誰だこれは?)が片手で持っているバーの右側の籠に不安そうな顔でマントを羽織っている御仁がFOX なのだろう・・・か

ちなみに、ピアノは Vladimir Sokoloff & William Smith の二人であるが、表のジャケットには記載が無い・・・

in THE GRAND SYMPHONY No.3 FOR ORGAN AND ORCHESTRA BY Camille Saint-Saëns

サン=サーンスはレスリング服?プリントされてしまっているし・・・しかし、このイメージはどう見ても 「オルガン交響曲」というより「動物の謝肉祭」だと思うが・・・既にこの時点で方向性が・・・誰も止める人間がいなかったのだろうか・・・

RCA Red Seal ARL1-0484 Jacket Liner Notes

ジャケット裏のライナーノーツは表と正反対の至極真っ当な仕上がり。流石にあのおちゃらけたジャケットに自身を登場させるのは勘弁してもらったのであろう・・・か。

プロディーサー Max Wilcox の解説によると、この1973年のセッションが、マエストロ・ジーンフォックスとのほぼ20年ぶりの共演になるそうな。

ROGERS TOURING ORGAN がこのセッションの数日前に Scottish Rite Cathedral の Ballroom に設置され、それに合わせてフォックスマエストロ を訪問(場所は Scottish Rite Cathedral)。

当初30分程度で考えていた打合せ(ダイナミクス・テンポ・フレージング等々)が2時間ほどの音楽談義(became musical reunion をどう訳すべきか・・・)になったそうな・・・

RCA Red Seal ARL1-0484 Label
LPはオイルショックを受けて材料を節約した dynaflex 盤である。盤のソリまで dynaflex してくれるから困るのだが・・・

キズが多くてスクラッチもそれなりだがまあまあ聴ける。ま、これはこのヘンテコ?なジャケットが欲しかったからそれでもいいのだが・・・

この盤、国内レギュラー盤は見たことないけど、恐らくあのデザインでは出していないだろう・・・なあ・・・

その代わり?に SUPER 45 R.P.M. Cutting 盤を・・・
RVC RCA Red Seal Super 45R.P.M. Cutting 45R-8
RVC/RCA Red Seal SUPER 45 R.P.M. Cutting
45-R8(P)1978

オーディオ・ブームで各社が競って出した45回転盤シリーズの1枚・・・かな。RCA Red Sealエラート原盤からそれぞれ10枚計20枚出していたようである。 オーマンディ/フィラデルフィア の演奏は7枚出ている。

RVC RCA Red Seal Super 45R.P.M. Cutting 45R-8 Jacket 裏
ジャケットはあっさり味。

RVC RCA Red Seal Super 45R.P.M. Cutting 45R-8 Label
レーベルもちょっと地味・・・もっと遊べばいいのにねえ・・・

この演奏、録音は流石に古さを感じさせるけど、爽快なブラス(ココまで吹いていいの?というくらいガンガン吹きまくっている)と、特徴のあるフォックスのオルガンの音が特徴。後年のTELARC 録音よりこっちの方がいいという人もいるだろう。

オーマンディ/フィラデルフィアのサン=サーンスオルガン交響曲RCA録音 CD三昧.jpg

ちなみに、この演奏はCD化されているが、不思議なことに3種類の音がある。なんでだろうねえ。

上右:BMG Victor/RCA 2 for 1 Series BVCC-8855-56
    2CDs 1995年
    The Fantastique Philadelphians
    華麗なるフィラデルフィア・サウンド
    バルトーク管弦楽の為の協奏曲
    ホルスト惑星」とのカップリング
上左:BMG Classics/RCA Victor 09026-61269-2
    Dolby Surround Sound Series (C)1992, (P)1994
下:BMGジャパン/RCA Red Seal BVCC-38051 (P)1999
    オーマンディ/フィラデルフィアの芸術Ⅰ Vol.4
    ムソルグスキー展覧会の絵」とのカップリング

一番派手な音がするのは 上右の BMG Victor/RCA 盤。これ以前に発売されたCDも同じ音のようだ。

そして、1999年のBMGジャパン/RCA Red Sealオーマンディ/フィラデルフィアの芸術Ⅰ」の盤。これは先の盤より残響を抑え気味にして高域も少し抑えているようだ・・・ミキシングも変えていると思う・・・楽器の定位も異なるしねえ・・・なんでミキシングを変えたのかは不明。ちなみに、ブックレットの裏はあの破廉恥ジャケットデザインがきちんと復刻されている。「展覧会の絵」のジャケットを表に持ってきたのはBMGジャパンの見識だろう・・・

最後は上左の Dolby Surround Sound盤 。音質上はこれが一番バランスが良いようだけど、ちょっとワウっている感じがする。再生に使ったテレコに問題有り?(ちなみにこのシリーズでは「惑星」も出ており、これはなかなかイケル。)

どれが良いかは好みとしか言いようがないが、問題は入手しにくいということだろう・・・見かけたら聴き較べてみるのも一興かと・・・んでは。