ウラディミール=フェドセーエフ指揮 モスクワ放送交響楽団 大阪公演 ― 2009年06月13日 07時40分
The Symphony Hall
http://asahi.co.jp/symphony/
名古屋公演もあったんですけど、大阪公演の方が曲目が面白かったので・・・ついでに大阪観光もしてきました。マスクしている人は殆ど見かけませんでした・・・
対豚インフルの政府の水際作戦は完全な失敗でしたなあ・・・でも、大本営発表を信じている人(時間稼ぎが出来たとか・・・)が結構多くて驚く。嘘も何回も繰り返せばホントになるという教科書通りの実例かねえ?神戸はホントに気の毒だわ。
6日(土)
ボロディン
交響詩「中央アジアの草原にて」
歌劇「イーゴリ公」より序曲と「ポロヴェッツ人の踊り」
チャイコフスキー
交響曲第5番
7日(日)
チャイコフスキー
「白鳥の湖」抜粋
交響曲第4番
ボロディンは音楽より本職の化学の方が忙しかったという・・・
アレクサンドル・ボロディン(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3
アルドール反応(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8F%8D%E5%BF%9C
指揮するウラディミール=フェドセーエフは1932年生まれだから、2009年現在76~7歳かな。1974年から現在に至るまで芸術監督・首席指揮者を勤めているから今年で35年目のコンビということになる。
Vladimir Fedoseyev
http://www.fedoseyev.com/
Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow
http://eng.bso.ru/
今時一つのオーケストラに腰を据えて取り組む指揮者を他に見つけることは難しい。1970年代から80年代にかけてそういう長期政権指揮者は姿を消してしまった。
まあ、長期政権が必ずしも良いワケじゃないけど。今の自民党政権の末期症状は絶望的だし・・・
1980年当時は Moscow Radio Symphony Orchestra だったけど、最近は Radio が取れて、 Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow になっている・・・が、以前の名称で親しまれているせいか、今回の日本公演でも「モスクワ放送交響楽団」になっている。放送局というバックが無くなり、スポンサー集めに苦労しているのかな?
手元に、フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団のLPが1枚ある。1981年6月にモスクワ放送大ホールで録音されたチャイコフスキーの6番交響曲。(日本ビクター VIC-28060)
日本ビクター(この当時はビクター音楽産業株式会社)とソヴィエトメロディアとの共同制作。ビクターが当時最新鋭のJVCディジタル録音装置を持ち込んで収録。
Melodiya(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Melodiya
Melodiya
http://www.melody.su/
日本ビクター(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%93%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
ビクターエンタテインメント(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88
最近のメロディアはソ連邦崩壊の混乱期から立ち直り、新生メロディアとしてワールドワイドな販売戦略を展開しているようだ。一時期は複数のレーベルから音源がでるという混沌状態だったからなあ・・・そのあたりの最新事情はクラシックジャーナル36号に詳しい
クラシックジャーナル(アルファベータ)
http://www.alphabeta-cj.co.jp/cla_j/index.html
このLPを聴いたとき、当時のロシアン・ブラス(モスクワ・ブラスというべきか?)の強烈さ(ffffff でカンタービレするトロンボーンとか・・・)と音の鮮烈さにびっくりしたモノだ。
あれからほぼ30年、オーケストラも指揮者も変わってしまったのか、当時の強烈なブラスは時折その姿を見せるだけになってしまった・・・そこが残念なところではある。一度、その強烈なブラスで張り倒されるような体験をしてみたいものだが・・・
・・・そのかわりといっては何だけど、ほどよくブレンドされ幾分陰りのあるサウンドを聴かせるコンビという印象を強くしたコンサートだった。
コンサートは6日より7日の方が良かった。6日のチャイコの5番は、オケと指揮者が今ひとつノリが悪いというか、指揮者が煽ってもオケが反応してないように思えた。特に2楽章、フェドセーエフのテンポの揺らし方が今ひとつツボにはまっていないというか・・・クライマックス近く、ほんの数拍だったけど、ブラスセクションが自分たちの居場所を見失った危うい場面もあったしねえ・・・35年目で離婚の危機?と心配してしまった。(コンサート前に車中で読んだ「婦人公論」の特集記事のせいかも?)フェドセーエフ指揮とTSOのコンビにはもっと高いものを望む・・・ってなんかU氏みたいだな・・・
でも、前半のボロディンは良かった・・・というか、なかなか聴けんよ・・・レコードではセミクラに入れられそうな演目なんだけどねえ。
「中央アジアの草原にて」は極限のピアニッシモが美しかった・・・「イーゴリ公」の序曲は可もなく不可もなくという曲かな(馴染みないし)・・・「ポロヴェッツ人の踊り」(昔のレコードは「だったん人」となっているがこれは誤りだそうな)も良かった・・・この2曲を聴きたくて、名古屋公演を振って大阪まで来たんだからねえ。
6日のアンコールの2曲、最後はおなじみの「雪娘」から・・・これはアンコール定番だけど、これがないと締めくくった気になれない。
7日の演奏は良かった。「白鳥の湖」の抜粋は選曲も良かったし、コンビの美点全開、有名な「情景」はないけど最後の大団円で満足できた。やっぱりチャイコはええなあ~
シンフォニーの4番も良かった。5番で感じたぎくしゃくした感じはなく、全てがツボにはまった演奏だった。バリバリ鳴らすブラスは無い(というか意図的に抑えていた)けど、十分余力を残せる底力を感じさせた。このコンビで、ロシア物以外の演目を聴いてみたいが、日本では難しいかな・・・?でもティンパニの打撃音は文字通りの力強さがあった。
このコンビでブラームスを聴いてみたいものだ。
日本では、ロシアのアーティストが演奏するドイツ物については冷遇視されているような気がする・・・何でか知らんけど。
レンフィルも所在地が革命前のサンクト・ペテルブルクと、ドイツかぶれのミーハー皇帝さまがドイツ風につけた地名に戻ってしまい、サンクト・ペテルブルク・フィルになっちゃったくらい、昔からドイツかぶれの国なのにねえ。日本より年期が入ってますがな。
ドイツかぶれのミーハー皇帝さま
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB1%E4%B8%96
嫁はんもドイツから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A2%E4%B8%96
都市までドイツ風(「さいたま市」よりまし?)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF
ということで、ドイツ物聴くのなら日本よりロシアの方がええんちゃう?と思うのは俺だけかい?
んでは。
<2009.6.28追記>
それにしても、フェドセーエフの指揮姿は美しいねえ。舞っているという感じがする。
オーケストラの配置も独特だ。舞台手前左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという両翼配置で、その後ろには左から ハープ、トランペット、トロンボーン、チューバ、ホルン、そして右サイドにパーカッションが並ぶ。コントラバスは舞台一番奥に10人がずらっと並んで壮観ですらある。ウィーンフィルとかウィーン交響楽団もこんな感じだったかしらん?
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