「タイースの瞑想」の美演を求めて・・・その12009年08月01日 05時36分

Columbia MS7103
米Columbia MS 7103 (LP)
"Green Sleeves" Produced by Thomas Frost
Eugene Ormandy and The Philadelphia Orchestra

【Side1】
Fantasia on Greensleeves(Vaughan Williams)
Two Elegeiac Melodies(Grieg)
- Heart Wounds, The Last Spring
Serenade(Schubert)
To a Wild Rose(MacDowell,Arr:T.Frost)
【Side2】
Londonderry Air(Traditional,Arr:A.Harris)
Intermezzo from "Cavalleria Rusticana"(Mascagni)
Vocalise(Rachmaninoff)
I Wonder as I Wander(J.J.Niles)
Meditation from "Thais"(Massnet)
- Anshel Brusilow, solo violin

今日から8月ですなあ・・・まだ梅雨は続いているのだろうか・・・

さて、オーマンディ&フィラデルフィアによる「タイースの瞑想曲」(正確には、歌劇「タイース」から「瞑想曲」・・・なんだけど)は、オーマンディ・ファンで知らぬものはモグリである・・・

ジュール・マスネ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%8D

タイスの瞑想曲(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%9E%91%E6%83%B3%E6%9B%B2

・・・かどうかはともかく、Anshel Brusilow の見事なソロと分厚いフィラデルフィアの弦が美しい演奏である・・・

・・・のだが、残念なことに、何故かCD化されずに今に至っている不運?な演奏でもある。2008年6月~7月にかけてSMEからリリースされた、"The Original Jacket Collection" にも収録されずじまいであり、一部のファン(もちろん私を含む・・・)を悲しませたことは記憶に新しい。

正確に言うと、変則的な形でCD化されたのだが、ノイズ除去をやりすぎて音に潤いがなくなってしまった・・・ということで、ファンが満足するCD化は未だ成されずじまいなのである。そのことについては以前取り上げたことがある。(下記参照)

Glorious Sounds of Music
Columbia Masterworks Recordings - 4
The Original Jacket Collection & 美演!「タイースの瞑想曲」
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/ColumbiaRec-4.htm

ということで、今のところこの曲を聴きたければLPを探すしかないのだが・・・

初出は恐らくこの 米Columbia MS7103 だと思われる。Side2,track5 に入れられているが、LP最内周ギリギリ近くでカットされているという悪条件が災いしたのか、フォルテで音がビリついてしまうのである。

未開封LP1枚、中古LP2枚を入手したのだが、程度の差はあれどもフォルテの音のビリつきが酷く曲を楽しめない。カッティングかプレスに問題があると思われるが、これはもうどうしようもない。

それに加えて最内周のカットなので、トラッキング・エラーと線速度低下による音質劣化がモロに響いており、これはなんとしてでもCDのクリアな音で聴きたい・・・のだが。

録音自体は厚みがありしっかりしていると思われるので余計に惜しいのだが・・・

アルバムそのものはコンセプトがしっかりしているし、解説(Letters From Song Publisher)も洒落ている。プロデューサーの T.Frost の手腕の良さが光る好アルバムなだけに余計惜しいのだが・・・ちなみに、T.Frost は曲のアレンジも担当してる、多彩な人なのである。

オーマンディ・フィラデルフィアのコロムビア時代を長く担当したであろう人なので、西暦2000年前後の100周年記念の時に、CBSが大々的にこのコンビの企画を立ててくれれば、色々と興味深い話を引っ張り出せたかもしれないと思うと残念でならない・・・

全く以て、SMEはこのコンビに対して罪深い?と言わざるを得ないは残念なことである。今からでも遅くはないので、早いとこ悔い改めて、きちんとこのコンビの録音を系統立てて復刻(出来れば全音源)するよう、切に願う次第である。(続く)

「タイースの瞑想」の美演を求めて・・・その22009年08月01日 06時00分

CBS SONY 13AC281
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 vol.46 13AC281
ロマンティック・コンサート
ユージン=オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

【A面】
グリーンスリーヴズ幻想曲、G線上のアリア、トロイメライ、
タイースの瞑想曲、アンダンテ・カンタービレ(チャイコ)、白鳥
【B面】
ラルゴ(ヘンデル)、メヌエット(ボッケリーニ)
カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲、なき女王のためのパヴァーヌ
夜想曲(ボロディン)

米Columbia盤は難があるので、国内盤を・・・というと、まあまあ入手しやすいお馴染みの「オーマンディ 音の饗宴1300」かな・・・

米盤でも再発盤はいいかもしれないけど、手元に1枚も無いし、アメリカの中古盤は状態の良いのが入手しにくいから、手頃な国内盤を探すのが得策だと思う。

「弦のフィラデルフィア管弦楽団」の特質を生かしたこのようなコンピレーション・アルバムが多数作られるのは当然の成り行きであり、似たようなアルバムがこのアルバム以前にも多数製作されていると思われる・・・

・・・が、状態が良くて入手しやすいとなるとこの盤だろう。運が良ければ、中古LP屋で捨て値(1枚100円とか)でも見つかる可能性は大いにある。そうでなくても、300円~500円で買えるだろう。ヤフーのオークションでも見かけるし・・・

米Columbia盤のカットに使用したマスターと較べると、当然のことながら恐らく一世代か二世代後のコピーマスターだろうから、テープヒスが増えているのはやむを得ないし、低音のノイズ(当時の録音会場である、タウン・ホールの空調や車のノイズ)を落とすためローカットフィルタを効かせているせいか、低音も若干厚みが減っている・・・

・・・が、なんといってもLP技術が成熟した時期のカットであるし、A面4曲目で盤の中間あたりのカットなので内周歪みの影響も少なく、米盤で耳についたフォルテのビビリも無いから安心して聴ける。

入手のしやすさ、盤の状態の良さ(LP末期だから、状態の良い盤が多い)・・・等々を考えると、手軽に聴けるこの盤はまだまだ探す価値がある。見つけたら買っておいて損はないだろう。

この盤には 独奏ヴァイオリンの Anshel Brusilow はクレジットされていない。ちょっと悲しいなあ・・・ (続く)

「タイースの瞑想」の美演を求めて・・・その32009年08月01日 06時30分

CBS/SONY 15AC1729
CBS/SONY オーマンディ名曲ベスト30 vol.29 15AC172
オーケストラ・ロマンティック・コンサート
ユージン=オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

【A面】
愛の夢(リスト、V.ヘルベルト編)、ただ憧れを知る者のみ(チャイコ)
月の光(ドビュッシー、カイエ編)、幻想序曲(チャイコ)
ロメオとジュリエットのテーマ(チャイコ)、セレナード(シューベルト)
【B面】
夜想曲(ボロディン、サージェント編)
カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
タイースの瞑想曲、悲歌(マスネ、T.フロースト編)
野バラに寄す(マクダウェエル、T.フロースト編)

「オーマンディ 音の饗宴1300」vol.46 ロマンティック・コンサート とほぼ同タイトルで曲目も重なっているものが多いが一部異なるのでややこしい・・・

結論から言うと、現時点では、この「オーケストラ・ロマンティック・コンサート」盤が「タイースの瞑想曲」の最も音の良い盤である。独奏ヴァイオリンの Anshel Brusilow もちゃんとクレジットされているし。

「・・・オリジナル・アナログ・テープ→ディジタル・マスタリングした新カッティング・・・」が功を奏したのだろう。ノイズは一番少ないし、音もコレが一番鮮明だ。ローカットフィルタも入れてないようだし、B面3曲目のカットだから条件も非常に良い。

この「オーマンディ名曲ベスト30」シリーズは、「オーマンディ 音の饗宴1300」より目にすることは少ないが、それでもたまに見かけるので、この盤を見たら迷わず?捕獲することをお薦めする。価格もたぶん安い。100円~500円くらいで入手出来るだろう。

願わくば、このディジタル・マスターを変な加工をせずにそのままCD化して欲しいものだが・・・

この盤に収録されているリストの「愛の夢」はヴィクター=ヘルベルトのアレンジが如何にも「昔のハリウッド映画調」で、鳴り響くフィラデルフィア・サウンドとの相乗効果により「愛の夢」を通り越して「愛の激情」といった少々苦笑モノの仕上がりになっています。CDにもなっていて、以前取り上げたことがあります。

Glorious Sounds of Music
Columbia Masterworks Recordings
LISZT'S GREATEST HITS
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/ColumbiaRecordings.htm

まあ、持っておいて損はないでしょう。

ちなみにこの盤、レコードラベルには大きな文字で "DREAM OF LOVE" とあり、その下に小さく "Orchestral Romantic Concert" とあります。企画段階のLPタイトルは「愛の夢」だったのかも・・・(続く)

「タイースの瞑想」の美演を求めて・・・その42009年08月01日 07時00分

Sony Music Direct (Japan) DYCC 1091-3(3CDs, (P)2006 )
Sony Music Direct (Japan) DYCC 1091-3(3CDs, (P)2006 )
Love Story - Classical Music from Korean TV Dramas & Movies
~韓国ドラマ&映画クラシックス~

さて、問題?のCDである。大いに流行った韓国産ドラマで使われたであろうクラシック曲のコンピレーション盤である。何故か?オーマンディ&フィラデルフィアによる「タイースの瞑想」がここに入っているのだ・・・が・・・

コレ1曲の為にこの盤に手を出すのは余程の物好きであろう・・・しかし、聴いてみなきゃあワカラン・・・ということで、買ってしまったのである・・・本当に物好きなことで・・・

で、肝心の音質だが、残念ながら最悪の音に仕上がっている。まあ、映画音楽のコンピ盤だし、あちこちから集めた音源の質を揃えることが最重要だからある程度やむを得ないのだろうが、最近の流行の悪い影響をモロに受けてしまったようだ。

具体的に言うと、ノイズ除去をやり過ぎて、ギスギス無味乾燥とした潤いの無い音に変貌させてしまったのだ。

プレイしてほんの一秒も経たないうちに、ヒスノイズがふっと消えて殆ど聞こえなくなるのだ。最近の機器のノイズ除去性能は大したものだが、これだけ徹底的にヒスノイズを除去したものはほぼ例外なく肝心の音が悪くなる。こうしたノイズ除去の常というべきか、妙なレベル変動も感じられる。

さらにローカットも強烈に効かせているので、低音も薄っぺらである。高域と低域をバッサリとカットした結果、電話の音みたいになってしまった・・・これは泣ける・・・

繰り返しになってしまうが、オーマンディ名曲ベスト30 vol.29 15AC172 で使われたディジタル・マスターを、変な操作をせずそのままCD化して欲しい。

ノイズ込みでも豊かな音の方が良い。大体、テープヒスなんて聴き始めの数秒しか気にならないものだ。ノイズを除去しすぎて音を悪くしてど~するの。まったく。

ということで、オーマンディ・ファンはこのCDには手を出さないこと・・・というか、3年前のCDだから既に入手不可能かな・・・(了)

The Fabulous Philadelphia Sound Series - Brahms : The Four Symphonies その12009年08月01日 12時56分

米Columbia Masterworks D3M31636( (C)(P)1972, Gray Label 3LPs )
米Columbia Masterworks D3M31636
((C)(P)1972, Gray Label 3LPs)
THE FABULOUS PHILADELPHIA SOUND SERIES
BRAHMS : THE FOUR SYMPHONIES
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

also available on CDs
●Symphony no.1 & no.2 - 米Sony Classical SB2K63287
(P)1972,1980,1997 / (C)1997 (2 CDs)
●Symphony No.4- EMI Classics(IMG Artists)
GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY Series
7243 5 75127 2 5 (UK:CZS5751272) (P)2002 (2CDs)

残念ながらCD化の気配が途絶えたままとなっている、オーマンディ・フィラデルフィアによるブラームスの交響曲全集です。

横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィによると、オーマンディのブラームス(交響曲)の録音歴は下記の通り。

Brahms
Sym. No.1 [M]50/11/05 (C)
Sym. No.1 [M] LIVE in Moscow 58/05/29
→ (Melodiya) LP M10-47161
Sym. No.1 [S]59/02/08 (C)
Sym. No.1 [S]68/05/19 (C) ● → available on CD
Sym. No.2 [M]40/02/26 (R)
Sym. No.2 [M]53/02/15 (C)
Sym. No.2 [S]66/04/06 (C) ●  → available on CD
Sym. No.3 [M]46/04/19 (C)
Sym. No.3 [S]67/01/31 + 67/03/13 (C) ●
Sym. No.4 [M]44/11/19 (C)
Sym. No.4 [S]67/10/25 (C) ●  → available on CD
[M]ono,[S]tereo,  [Label]:(C)BS, (R)CA

横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィ
http://www.geocities.jp/ormandy/ormandy_disk.html

●印がこの3枚組のLP全集に収められている演奏。残念ながら3番のみが未CD化であり、CD化された演奏もそのCDが入手困難な状況となっているため、いくらこの演奏が素晴らしいと言っても、入手出来ない録音ではどうしようもない・・・という状況となっている。

CD化については、ソニー・ミュージック・ショップのオーダーメイドファクトリーにリクエストを出すしかないようである。

ソニー・ミュージック・ショップ - オーダーメイドファクトリー
http://www.sonymusicshop.jp/ordermf/index.html

採算に見合うだけのリクエストが集まれば、CD化実現の可能性もあるということだろう。CD化を希望する方はリクエストを出してみては如何?私もとりあえずリクエストをしてみました。

以前、ソニー・ミュージック は「クラシック復刻館」でリクエストを募っていたが、どうやら今は活動停止のようである。また再稼働して欲しいものであるが・・・ここからは、ゼルキンとのブラームス2番ピアノ協奏曲やマーラーの10番交響曲(クックの演奏会バージョン)という超弩級の復刻が成されているし・・・

SME クラシック復刻館
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Classical/Special/fukkokukan/

Mahler: Symphony No.10 (Performing version by Deryck Cooke)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/eugeneormandy/?SICC-534

BRAHMS:PIANO CONCERTO NO.2(Piano;R.Serkin)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/RudolfSerkin/?SICC-536

さて、とりあえずCD化が期待出来ないとなると、あとは過去に出たCDかLPを探すしかない。1番・2番・4番はCDを探すことも出来るが、3番はLPしか聴く手段がない。

なんだかんだ言って、10年近く オーマンディ・フィラデルフィアのLP・CDを探してきたけど、ステレオ録音のブラームスのシンフォニーでもっとも目についたのが、この3枚組の全集なのだ。国内・海外を問わず、これ以外のLPは全くといって良いくらい見たことが無い。(バラでも出ていると思うのだけど・・・)

バラ売りの1番と4番は「CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300」から出ているが、オーマンディのブラームスはあまり売れなかったのか、中古屋で殆ど目にしたことがない。

CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 全50巻 その2
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/07/25/4456495

vol.18 SOCT-18 ブラームス:交響曲第1番
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/02/23/4136752

vol.19 SOCT-19 ブラームス:交響曲第4番

2番と3番はさらに可能性が低いように思える。「CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300」にも入ってないし、その後の「オーマンディ名曲ベスト30」にはブラームスのシンフォニーは全て省かれているし・・・

日本コロムビア、そしてCBS/SONYから販売されていないことはないと思うのだけど、ホントにお目にかかれないのである。不思議だ・・・(続く)

The Fabulous Philadelphia Sound Series - Brahms : The Four Symphonies その22009年08月01日 13時30分

The Fabulous Philadelphia Sound Series Technics
↑The Fabulous Philadelphia Sound Series Technics
from 米Columbia Masterworks D3M31636 inner text

さて、この3枚組のLP(米Columbia Masterworks D3M31636)、オートチェンジャーでかけることを前提にプレスしているので、日本のユーザーからみると首をかしげるような面割りになっている。

RECORD 1
↓Side1 - 交響曲第1番 1~2楽章
↑Side6 - 交響曲第4番 2~4楽章

RECORD 2
↓Side2 - 交響曲第1番 3~4楽章
↑Side5 - 交響曲第3番 3~4楽章、交響曲第4番 1楽章

RECORD 3
↓Side3 - 交響曲第2番 1~3楽章
↑Side4 - 交響曲第2番 4楽章、交響曲第3番 1~2楽章

レコードを3枚重ねて、

RECORD1 Side1→RECORD2 Side2→RECORD3 Side3
ひっくり返して、
RECORD3 Side4→RECORD2 Side5→RECOR1 Side6

という風にオートチェンジするんだろう・・・なあ。実際に見たこと無いから推測するしかないけど。

オートチェンジャーはレコードをストン・ストンと重ねたレコードの上を滑らせて自動交換するタイプや、長いスピンドルに数枚のレコードを串刺しにしてセットするタイプやら色々あるらしく、レコードを重ねたり、レコード同士をスライドさせた時に溝を傷つけないよう、グルーブガード盤が開発された・・・らしい。

LP album (wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/LP_album

Record_changer - Automatic_sequencing (wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Record_changer#Automatic_sequencing

正直、ブラームスのシンフォニーを全部続けて聴く人がいるのか?という気もするのだが、アメリカのLPでは結構こういう面割りのLPを見かけるのだ・・・RCA Red Seal の「復活」もそうだし・・・

このセットではシンフォニーの2番のみが、RECORD3 1枚で聴けるが、あとのシンフォニーは2枚必要なのだ。面倒な話ではあるがしょうがない・・・

このブラームスのシンフォニー全集は、1966年~1968年にかけて収録されている。1968年にこのコンビは RCA Red Seal に移籍しており、これは米Columbia 時代の最後の駆け込み録音(*)とも言える。

(*)このあたりの事情については下記をどうぞ
Glorious Sounds of Music
→Ormandy & Philadelphia Orchestra, ETCETRA
→1970年代からの RCA READ SEAL の低迷の原因は ormandy/philadelphia に有り?
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/OrmandyEtcetra.htm

この当時、マルチマイクによる収録方法がだんだん浸透してきたのか、このアルバムにも、そのマルチマイク収録方法の説明とマイクセッティングの簡単な図解が記載されている。

それによれば、12から15本マイクを立てて、15chのミキシングコンソールを通して 4ch テープレコーダーに録音し、最終的に2chにトラックダウンする・・・とある。細かいところは写真の文書を見てもらうとして、こういうことを書いていた時代があったんですな・・・

おっと、肝心の演奏について。スケール雄大、ノックアウト級の演奏である。1番、3番、4番は文句なしに素晴らしい。2番も悪くないが幾分推進力に欠けるきらいがあるが、終楽章のフィナーレは流石の迫力というところか・・・

音そのものについて、マルチマイクの弊害の面が出たのか、高音(ヴァイオリン)は荒れ気味で低音不足の感があるが、これはトーンコントロールである程度補正して聴くと良いと思う。CD化された1番・2番・4番はこのあたりがかなり改善されており、3番のCD化を望むのもそういう音質向上を期待してのことである。

CD2枚組で4曲収まる筈だし、ハイドン・バリエーションとかも含めてCDで全集を出して欲しいものだ・・・(了)