Ormandy & Philadelphia - Stravinsky's Suite from The Firebird ― 2013年03月17日 16時20分

15AC1714 (P)1974
Stravinsky
Suite from L'oiseau de feu , Suite from Petrushka

何故この盤を探していたかというと・・・「ペトルーシュカ」(ステレオ録音)は CD(Sony Classical Essential Classics SBK 47664、カップリングされている「火の鳥」はセル指揮クリーヴランド管弦楽団のもの)で聴けるのだが、この「火の鳥」は1985年にオリジナル・マスター(恐らく4track Ampex Recorder)からディジタル・リマスタリングのLp(つまりこの盤)が発売されているにもかかわらず、今までCD化されていない為、Lpで聴くより方法が無かった。
このシリーズ、ジャケットには音源についての記載は無いのだが、付属の帯に
「豊麗なフィラデルフィア・サウンドの黄金時代を築いたユージン・オーマンディの名演・名録音・ベスト30。オリジナル・アナログ・テープ→ディジタル・マスタリングした新カッティングにより一層鮮明なサウンドが聴かれる。」
との記載があり、そのリカットの音に期待したのだ。ディジタル・マスタリング以前のLpで入手が容易な盤として下記の国内盤がある。



The Fabulous Philadelphia Sound Series M31632
((C)(P)1972, StereoLP Gray Label
録音は1967年だが発売は1972年・・・つまり、オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団がRCA Red Sealに移籍してから発売されたLp。


さて、「火の鳥」について、3枚のLp盤面を一見して解るのは、米Columbia Masterworks盤とCBS/SONY 「オーマンディ 音の饗宴1300」 盤が最後のクライマックスをラベル面近くかなり内周部で切り込んでいるのに対して、このCBS/SONY 「オーマンディ名曲ベスト30」盤はラベルからかなり離れた所で切っている、つまりクライマックスを可能な限り内周歪みの少ない音で聴かせようと配慮しているのだ。確かに、米盤と音の饗宴1300盤よりもクライマックスの音(特にブラス)は荒れずにクリアに聴こえる。「火の鳥」は静かなところが多いので、全体のレベルを落とさずに溝を詰めることで実現出来たのだろう。「ペトルーシュカ」はその点3枚ともそう大きな相違は無かった。
併録されている「ペトルーシュカ」は通常演奏される1919年版(2管編成)ではなく、1911年初版(4管編成)をベースにした抜粋版だが、この「火の鳥」は使用しているスコア(版)について特に記載が無い。構成は1919年組曲版だが4管編成で演奏していると思われるので、
(1)1919年組曲版をベースに4管編成に拡大した
(2)1910年全曲版(4管編成)か1911年組曲版(4管編成)のスコアから抜粋して1919年組曲版構成とした
(3)(1)と(2)を適宜組み合わせて構成した
これは各版のスコアをにらめっこしながら聴かないと解らないが、「魔王カスチェイの凶悪な踊り」ではトロンボーンのグリッサンド(1919年組曲版で追加)が聴かれるから、ベースは1919年版ではないかなと思うけど、トロンボーンのグリッサンドだけ追加するという手もあるからコレだけでは確定は出来ない・・・終曲ではホルンのグリッサンド追加とかの独自の変更も加えているし・・・
「火の鳥」は前半部分の静かな部分に精緻なスコアリングが為されているので、本当は全曲版で聴きたいのだが、オーマンディは全曲版を録音しなかった。まあ、1960年代後半で「火の鳥」全曲がそう売れるとは思えないので仕方が無いのだが・・・
「火の鳥」はRCA Red Sealの1973年録音がありこちらも良いのだが、この1967年Columbia Masterworks盤も素晴らしいので、今回のCD化はファンにとって朗報と言えるだろう。
ディジタル・リマスタリングのLp(CBS/SONY 「オーマンディ名曲ベスト30」)は1985年にオリジナル・マスターから16bit,44.1kHzでサンプリング・リミックスされたものだが、発売予定のCDはベルリン・b-sharpスタジオでDSDマスタリングとSBMでCD化するとのこと。前回と比較して、マスター・テープの劣化(1985年より28年経過)が気になりますが・・・出来れば、このLpの16bit,44.1kHzの音源もCDで聴いてみたいモノである。
では。
The Fabulous Philadelphia Sound Series - Respighi Tone Poems, 1968年 ― 2011年03月02日 23時00分

(amazon.com , amazon.co.jp)
Respighi : Pines & Fountains of ROME
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
「松」も「泉」も1968年の録音。RCA Red Seal 移籍前の駆け込み録音でもある。収録場所は Town Hall と思われるが明確な記載が無いので詳細不明。John Hunt のディスコグラフィには Town Hall と書かれているが、今ひとつ信頼性に欠ける。ただ、この録音はThe Fabulous Philadelphia Sound Series として発売されており、このシリーズは Town Hall で録音されているとの記載があるので、やはり Town Hall なのかな・・・?
Columbia Masterworks の ローマ三部作ステレオ録音はこの他、「泉」1957年・「松」1958年・「祭」1961年 がある。どちらかというとこちらの「旧」録音の方が広くLP・CDに収録されて出回っている。「祭」のみ Academy of Music の収録。「泉」と「松」はBroadwood Hotel にて収録されている。この「旧」三部作、LPはCBS/SONY オーマンディ「音」の饗宴1300 Vol.26 13AC126 と CBS/SONY オーマンディ名曲ベスト30 Vol.24 15AC1724 として出ているし、CDもCBS/SONY ベスト・クラシック100 30DC788(1986年)、そして Essential Classics SBK48267(amazon.com,1992年) や Original Jacket Collection (amazon.com,2008年)にも収録されている。
しかし、今回取り上げた1968年録音の「松」も「泉」は、1983年のGreat Performances Series でCD化されて以後、CD再発売はされていないようである。ちなみに、初出LPは下記。
Gray Label LP
Respighi : The Fountains of Rome, The Pines of Rome
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
日本では、1972年の2回目の来日に合わせてCBS/SONY から DP Master Sound Series(SOCO-5 \2,300)として発売されている。DP は Direct Plating の略。ラッカーマスターから銀メッキ→ニッケルメッキという工程のうち銀メッキを省略してラッカーマスターに直接ニッケルメッキを施すというのがウリの技術。この日本盤は中古屋で何回か見かけたことがあるので、それなりに売れたのだろう・・・手元にあるのは米盤のM30829。これは、The Fabulous Philadelphia Sound Series の1枚。

ただ、残念ながらこのシリーズの録音は残響過多であったり音が荒れ気味のものが多い。まだまだマルチ・マイク録音の試行錯誤時代だったのだろう。
オーケストラ配置とマイク・ポジションも図示されている。

ラベルは曲目の記載が右にずれている・・・ま、これくらいは許容範囲・・・か?ま、音には直接関係ないけどねえ・・・
この1968年の「松」と「泉」は、オルガン抜きで演奏されているようである。まあ、オルガンが無くても音楽にはなるけど、やはり物足りない・・・電子オルガンを使う手もあったろうに・・・
レスピーギのローマ三部作は、やはり録音の優秀さがモノをいう曲なので、現在の優秀録音と比較すると今ひとつの感は否めないが、それでもオーマンディ・ファンであればこの録音は手元に置いておく価値はある。出来れば、SACDでリマスタリングして音質向上を図ってもらいたいものだが・・・
余談ではあるけど、「松」のアッピア街道のクライマックスのバンダとブラスセクションをきちんと楽譜通り5連音符で吹かせている演奏は少ない。多くは2+3連音符で吹かせているが、この演奏はほぼ楽譜通り5連音符で吹かせている数少ない演奏でもある。
では。
Music for Organ and Orchestra - Ormandy/Philadelphia & Bernstein/New York ― 2011年01月01日 10時10分
STEREO "360 SOUND" (Regular MonoML5798)
MUSIC FOR ORGAN AND ORCHESTRA
Power Biggs(Organ)
Produced by John McClure
Strauss : Festival Prelude for Organ & Orchestra, Op.61
Leonard Bernstein/New York Philharmonic
Barber : Toccata Festiva
Poulenc : Organ Concerto in G minor
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
Barber available on CD
Sony Music Entertainment/
Sony Classical Classic Library SK 94739 (C)2005
(Tower, amazon.com )
ジャケットは左からバーンスタイン、ビッグズ、オーマンディ の肖像画を並べたデザイン。主役は勿論オルガンのビッグズ であり、指揮者の両マエストロは今回は脇役?なのである。
Barber は5年前にCD化されているが、 Poulenc の方は残念ながら未CD化の音源。収録についてはLPのライナーノーツに簡単な説明が記載されている。
In the Poulenc concerto and the Barber toccata Mr.Biggs plays the three manual, 73 stops Aeolian-Skinner organ at the Academy of Music in Philadelphia.
In the Strauss prelude Mr.Biggs plays a two manual, 10 stop Allen Electric Organ on loan to Philharmonic Hall, New York City.
横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィによると、Poulenc と Barber は1962年10月7日に収録されているが、同時にサン=サーンスのオルガン交響曲も同日収録されている。3曲とも1日で録音というのは凄いが、既に実演していて準備万端の状況での収録だから可能なのだろう。
一方、Strauss(バーンスタイン指揮NYP) は、John Huntのディスコグラフィによると 同月2日の収録となっている。 カップリングの他の2曲も含めて極めて短期間に収録されている。Strauss については、
As performed opening week at Philharmonic Hall, Licoln Center for the Performing Arts.
とLPにコメントがあるので、この演奏会の後の収録と思われるが・・・
ま、バーンスタインとNYPはこのブログの主題ではないのでこれくらいにして、オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団に話を戻しましょうか・・・
繰り返しになりますが、以前とりあげた、サン=サーンスのオルガン交響曲も含めた3曲とも、収録場所はAcademy of Music、オルガンもホール備え付けのAeolian-Skinner Organ(参考:Ernest M. Skinner) が使われている。
オーマンディ/フィラデルフィアのすべて(日本コロムビア 1967年3月)によると、 このオルガンはエフレム=ジンバリスト夫人が亡父サイラス・H・K・カーティス(カーティス音楽院の創立者)を偲んで1959年に Academy of Music に寄贈されたものだそうな。

Within These Walls - A History of the Academy of Music in Philadelphia by John Francis Marion(1984年)にも同様の記載があり(というかオリジナルはこっちかな?)、同書によると、フィラデルフィア管弦楽団の1960-61年シーズン最初のコンサートはサン=サーンスのオルガン交響。
この時の指揮は勿論マエストロ・ジーン、オルガン演奏はPaul Callaway 。Paul Callawayは同シーズンの9月、このオルガンの為に作曲された Barber "Toccata Festiva" の世界初演を行い、その後間もなくAlexander McCurdy が Westminster Choirと共にこのオルガンの最初のリサイタルを行っている。その後直ぐに Virgil Fox もリサイタルを行ったそうな・・・

手持ちのLPのラベルはGray Label 。ファーストプレスはたぶん2eyes と思うが・・・CBS Masterworks ラベルだから1970年代のプレス?かな。この辺りはよく分かりません・・・
日本では、Poulenc も Barber も発売されていない様である。確かなことは言えないが、LPを見かけたことがないので・・・売れ筋の曲でもないし。
しかし、Saint-Saëns 、Poulenc そしてBarber も Academy of Music のAeolian-Skinner Organ を使った今となっては貴重なドキュメントと言える音源なので、これら3曲を纏めて1枚のCDで出して欲しい・・・と思うのは私だけであろうか。
サウンドについてはサン=サーンスのオルガン交響曲 と同様、直接音を主体としたデッドなサウンドであり、Academy of Music の特徴が良く現れていると思う。オルガンの重低音もしっかりと入っているし、オリジナル・マスターからCD化すれば今でも十分通用する優秀録音ではないだろうか・・・Barber のCDはDSDリマスタリングでLPより遙かに良いサウンドに仕上がっているので、Poulenc も是非お願いしたい。
ちなみに、Eschenbach/Philadelphia によるこの3曲をカップリングしたCDが Ondine から出ている。

これは現在のホームである Verizon Hall での2006年5月ライブ録音。聴き較べも一興・・・かな?
では、今年も宜しくお願い致します。
Bach by Ormandy ― 2010年06月09日 06時50分

Gray Label LP
J.S.Bach
Toccata and Fugue in D Minor (arr. by Ormandy)
Toccata, Adagio and Fugue in C Major (arr. by Ormandy)
Passacaglia and Fugue in C Minor (arr. by Ormandy)
J.C.Bach
Sinfonia for Double Orchestra, Op18. No.1(arr. by Ormandy)
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded 1960, at Broadwood Hotel, Philadlephia
Masterworks Heritage CD(Sony Music Entertainment/Sony Classical Masterworks Heritage MH2K 62345(2CDs) (amazon.com) )の最初にもこのジャケットが掲載されている。米Columbia ステレオ創世記の録音。

このLP、特にSide1のノイズが盛大で閉口してしまう。Side2は幾分マシだが・・・音そのものは結構イケそうなのにねえ・・・

数回針通りしてレイカのバランスウォッシャーで掃除したらある程度よくなるかもしれん・・・こういう時は Audio Technica AT-10Gが便利だ。丸針だし、掃除も兼ねて気楽に針通しさせられる。
んでは。
Ormandy & Philadelphia - Brahms : Symphony No.3, 1967 ― 2010年03月27日 17時15分
桜も・・・
春なの~に~(誰の歌だったっけ?)何故かもの哀しいというか・・・こういう時はブラームスの交響曲第3番 がエエですな・・・男の美学・・・というかセンチメンタリズムというか・・・お師匠さんの奥さんに想いを寄せながら結局くすぶったままで生涯を終えた偏屈男ブラさんですが、そのくすぶりが音楽になるとこうなるんですかねえ・・・こういう女々しいのは男独特のもので、女性にはたぶん理解出来ないのではないか・・・演歌で歌われる女性像は男の願望というか妄想の類(作曲家・作詞家みんな男)だし・・・などど、根拠があるのかないのか、しょ~もないことを書き連ねる、元祖天才バカボンの春であった・・・
・・・閑話休題・・・
ブラームスのシンフォニーと言えば、やはりこの演奏でしょう・・・

((C)(P)1972, Gray Label 3LPs)
THE FABULOUS PHILADELPHIA SOUND SERIES
BRAHMS : THE FOUR SYMPHONIES
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
この全集は以前ブログ(2009年8月1日、その1 と その2 )で取り上げているが、筆者の気まぐれにより再登場と相成った・・・
Columbia Masterworks に1960年代後半にステレオ録音された、オーマンディ と フィラデルフィア管弦楽団 によるブラームス交響曲全集は、その演奏の素晴らしさによりファンから長年熱いCD化要望・期待が寄せられているが、にもかかわらず、未だこの交響曲第3番はCD化されていない・・・この演奏を聴くとゾクゾクするんだけどなあ・・・2楽章終わりの弦セクションのポルタメントなんてホント・・・埋もれさすには惜しい・・・
横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィ によると、ブラームス交響曲のColumbia Masterworks ステレオ録音は下記の通り。
Brahms Symphonies(Stereo Recordings)
Sym. No.1 [S]59/02/08 (C) (未CD)
Columbia Masterworks MS 6067
Sym. No.1 [S]68/05/19 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 vol.18 SOCT-18 LP
Sym. No.2 [S]66/04/06 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
Sym. No.3 [S]67/01/31 + 67/03/13 (C) (未CD)
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
Sym. No.4 [S]67/10/25 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 vol.19 SOCT-19 LP
[S]tereo, [Label]:(C)BS
1959年録音の1番は日本では発売されていないのではないかな・・・私は見たことないし・・・これは米Columbia盤。ある方から譲って頂いたもの。


その1968年録音のブラ1のこの国内盤LPは思い入れが強くて・・・手放せませんな・・・マエストロが神の如く崇めていたトスカニーニのスコア改訂をそのまま踏襲した強烈演奏を初めに聴いてしまうと、楽譜通りの演奏が凄くつまらなくなる、じつに困った演奏でもある。


残念ながら、オーマンディ 音の饗宴1300 の 4番のLPは持ってません・・・ま、同じデザインなんだけどね。
以下はCD。これも現在は入手困難なのが残念・・・
also available on CDs
●Symphony no.1 & no.2 - 米Sony Classical SB2K63287
(P)1972,1980,1997 / (C)1997 (2 CDs)
(amazon.co.jp, amazon.com)

とあるレコード店の店頭でこのCDを見つけて驚喜したのも懐かしいなあ・・・もう10年以上前のことである・・・
●Symphony No.4- EMI Classics(IMG Artists)
GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY Series
7243 5 75127 (amazon.co.jp, amazon.com)

4番は思わぬ所からCD化されたが、これも今は残念ながら入手困難・・・
・・・ということで、今のところ、交響曲第3番 を聴くには Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set) を入手するしかない・・・と思う。4曲のシンフォニーを3枚に詰め込んで、バジェット・プライスで大量にプレスしたのだろう・・・と思う。バラ売りはしなかったんじゃないかな・・・と思えるほど、それらのLPを見かけない。
日本では CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 シリーズで 1番と4番は1枚物として発売されているが、2番と3番はこのシリーズに入っておらず、日本でも1枚物LPとしては発売されていないのじゃないかな・・・
この3枚組LP、オートチェンジャーでかけることを前提に面割りしてプレスしているので、通常のプレイヤーでは面倒なのだ・・・
RECORD 1
↓Side1 - 交響曲第1番 1~2楽章
↑Side6 - 交響曲第4番 2~4楽章
RECORD 2
↓Side2 - 交響曲第1番 3~4楽章
↑Side5 - 交響曲第3番 3~4楽章、交響曲第4番 1楽章

RECORD 3
↓Side3 - 交響曲第2番 1~3楽章
↑Side4 - 交響曲第2番 4楽章、交響曲第3番 1~2楽章

つまり、3番を聴くのに2枚のLPをかけなければならないのだ・・・オマケに、1楽章と2楽章は2番の4楽章の後にカットされているので内周寄りで音質があまり宜しくない。3楽章と4楽章は片面アタマからカットされているので1楽章と2楽章より音は良いが、同じ面に4番の1楽章を詰め込んだ為ダイナミックレンジが犠牲になっている。ま、レコードのバジェットが厳しかったアメリカではやむを得ない処置とも言えないこともない・・・
やはりこれはCD化してもらわないとイカン・・・頼むぜ!タワーレコードさんよ!全国のオーマンディ・ファンの為にも・・・マスターテープの劣化が進行する前にとっととディジタル・マスタリングして出さないと逮捕な~のだ!
んでは。
Stravinsky : Petrushka Suite ― 2009年12月13日 13時46分
Igor Stravinsky
Suite from "The Fire Bird"(1919 Version?, rec. 1967)
Suite from "Petrushka"(Original 1911 Orchestration Version, rec. March 23,1964)
Eugene Ormandy & The Philadelphia Orchestra.
"Petrushka" Originally released as Columbia MS6746(LP)
"Petrushka" also available on CD as Sony Classical Essential Classics SBK 47664(amazon.com)
このLPは、既にMS6746として発売された「ペトルーシュカ」とRCA移籍前の駆け込み録音と思われる「火の鳥」を組み合わせて1972年に発売されたものでしょう。「火の鳥」はこのLPが初出のようです。
「ペトルーシュカ」はCD化(SBK 47664)されていますが、「火の鳥」は残念ながらCD化されておりません。「火の鳥」も素晴らしい演奏なので惜しいことです。
「ペトルーシュカ」のCDには「火の鳥」がカップリングされていますが、演奏はセル&クリーヴランド管弦楽団です。これはこれで良い演奏ですが、やはりファンとしてはオーマンディとフィラデルフィアの演奏を組み合わせて欲しいです・・・が、セルのファンも同じような事を考えていらっしゃるかもしれませんね。
この「ペトルーシュカ」は組曲版とありますが、通常演奏される1947年版(3管編成)ではなく、1911年初版(4管編成)の抜粋版です。LPの解説は下記の通り。
In 1946, the composer rescored Petrushka for a smaller Orchestra, with radically altered instrumentation. The suite performed here by Eugene Ormandy and the Philadelphia Orchestra is made up of excerpts from original 1911 orchestration. It includes the complete first and second scenes, the Dance of the Ballerina, the Waltz and the Quarrel of the third scene.The last scene is represented by its opening music, the dances and The Maskers episode.
- from Columbia M31362 LP Notes.
録音当時は、初版の演奏というのが「売り」になったのでしょうか?どちらの版が良いかは聴いて判断するしかありませんが・・・。
こちらはCDです。
それにしても「火の鳥」をCD化して欲しいなあ・・・あれ、肝心のペトルーシュカの演奏について書き忘れてしまった・・・ま、私が一々駄弁を弄する必要はありませんな・・・では。
Hindemith : The Complete Sonatas for Brass and Piano. ― 2009年08月24日 06時25分
Paul Hindemith
http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Hindemith
Sonata in F for French Horn and Piano (1939)
Sonata for Bass Tuba and Piano (1943) (1955)
Sonata for Trumpet and Piano (1939)
Sonata in E-flat for Alto Horn and Piano (1943)
- Dialogue recited by Mason Jones & Glenn Gould
Sonata for Trombone and Piano (1941)
Glenn Gould(p) (wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Glenn_Gould
Members of the Philadelphia Brass Ensemble
Mason Jones(Horn), Abe Torchinsky(Tuba), Gilbert Johnson(Tp)
Henry Charles Smith(Tb)
フィラデルフィアの黄金時代を支えた、元首席テューバ奏者のAbe Torchinsky氏が亡くなられたそうです。
Philly.com - Obituaries -
Abe Torchinsky, 89, tubaist with Philadelphians(2009.8.21)
http://www.philly.com/philly/obituaries/20090821_Abe_Torchinsky__89__tubaist_with_Philadelphians.html
マーラーの「復活」で聴かせてくれた音も忘れられませんが、今日はグールドと組んだヒンデミットのソナタを聴いて氏を偲ぶことにしましょうか・・・
・・・フィラデルフィア・ブラス・アンサンブルとグレン=グールドによる、ブラスとピアノの為のソナタ全集アルバム。LP2枚組。録音は1975年~1976年。既にオーマンディとオーケストラがRCA Red Seal に移籍した後の、Columbia Masterworks への録音です。
プロデューサーは Andrew Kazdin。クリーヴランド管・シカゴ響、そしてフィラデルフィアのトップを集めた有名な "The Antiphonal Music of Giovanni Gabrieli" アルバムのプロデューサーです。
さて、このヒンデミットのソナタ集、今回初めて針を落とします・・・ヒンデミットと聞いただけで敬遠していたのですが・・・正直、ヒンデミットの音楽は何が面白いのか・・・という想いは今もあまり変わりません。
音楽家というか玄人受けするみたいですけど、素人には何が楽しいのやら・・・魅惑的なメロディーが出るわけでもない、わくわくするような躍動感も無いし・・・きっとそういうのに飽きた人が聴くのに良かったりして・・・
でも、聴いて拒絶反応を起こす程のものでもないし、自身の心境の変化か、聴き流す分には悪くないな・・・と思えるようになってきたのもこれまた事実。
この演奏はグレン=グールドの演奏ということで、CDは入手が容易です。
amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/Hindemith-Complete-Sonatas-Brass-Piano/dp/B000VFGT0E
amazon.com
http://www.amazon.com/Hindemith-Complete-Sonatas-Brass-Piano/dp/B000VFGT0E/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1251062023&sr=1-1
HMV
http://www.hmv.co.jp/product/detail/70547
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2648728
では。
酒と女と歌と・・・ワルツ集 ― 2009年08月08日 11時10分
(Gray Label Stereo LP, Mono ML-6432)
Wine, Woman and Song - Favorite Waltzes
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
Gounod:Faust Waltz、 Ivanovici:Danube Waves
Waldteufel:Skaters' Waltz(Walter Toscanini),Estudiantina
Strauss:"Wine, Woman and Song" , Roses from theSouth, Thousand and one Nights
葉巻を片手に、美女を乗っけてご満悦なウィーン貴族・・・かな。有名なワルツを集めたコンセプト・アルバム・・・というやつかなあ。ま、お気楽極楽で聴くのもまた楽しからずや・・・盤の状態は非常に宜しい。
The Fabulous Philadelphia Sound Series - Brahms : The Four Symphonies その2 ― 2009年08月01日 13時30分
from 米Columbia Masterworks D3M31636 inner text
さて、この3枚組のLP(米Columbia Masterworks D3M31636)、オートチェンジャーでかけることを前提にプレスしているので、日本のユーザーからみると首をかしげるような面割りになっている。
RECORD 1
↓Side1 - 交響曲第1番 1~2楽章
↑Side6 - 交響曲第4番 2~4楽章
RECORD 2
↓Side2 - 交響曲第1番 3~4楽章
↑Side5 - 交響曲第3番 3~4楽章、交響曲第4番 1楽章
RECORD 3
↓Side3 - 交響曲第2番 1~3楽章
↑Side4 - 交響曲第2番 4楽章、交響曲第3番 1~2楽章
レコードを3枚重ねて、
RECORD1 Side1→RECORD2 Side2→RECORD3 Side3
ひっくり返して、
RECORD3 Side4→RECORD2 Side5→RECOR1 Side6
という風にオートチェンジするんだろう・・・なあ。実際に見たこと無いから推測するしかないけど。
オートチェンジャーはレコードをストン・ストンと重ねたレコードの上を滑らせて自動交換するタイプや、長いスピンドルに数枚のレコードを串刺しにしてセットするタイプやら色々あるらしく、レコードを重ねたり、レコード同士をスライドさせた時に溝を傷つけないよう、グルーブガード盤が開発された・・・らしい。
LP album (wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/LP_album
Record_changer - Automatic_sequencing (wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Record_changer#Automatic_sequencing
正直、ブラームスのシンフォニーを全部続けて聴く人がいるのか?という気もするのだが、アメリカのLPでは結構こういう面割りのLPを見かけるのだ・・・RCA Red Seal の「復活」もそうだし・・・
このセットではシンフォニーの2番のみが、RECORD3 1枚で聴けるが、あとのシンフォニーは2枚必要なのだ。面倒な話ではあるがしょうがない・・・
このブラームスのシンフォニー全集は、1966年~1968年にかけて収録されている。1968年にこのコンビは RCA Red Seal に移籍しており、これは米Columbia 時代の最後の駆け込み録音(*)とも言える。
(*)このあたりの事情については下記をどうぞ
Glorious Sounds of Music
→Ormandy & Philadelphia Orchestra, ETCETRA
→1970年代からの RCA READ SEAL の低迷の原因は ormandy/philadelphia に有り?
http://www.ne.jp/asahi/tron/music/OrmandyEtcetra.htm
この当時、マルチマイクによる収録方法がだんだん浸透してきたのか、このアルバムにも、そのマルチマイク収録方法の説明とマイクセッティングの簡単な図解が記載されている。
それによれば、12から15本マイクを立てて、15chのミキシングコンソールを通して 4ch テープレコーダーに録音し、最終的に2chにトラックダウンする・・・とある。細かいところは写真の文書を見てもらうとして、こういうことを書いていた時代があったんですな・・・
おっと、肝心の演奏について。スケール雄大、ノックアウト級の演奏である。1番、3番、4番は文句なしに素晴らしい。2番も悪くないが幾分推進力に欠けるきらいがあるが、終楽章のフィナーレは流石の迫力というところか・・・
音そのものについて、マルチマイクの弊害の面が出たのか、高音(ヴァイオリン)は荒れ気味で低音不足の感があるが、これはトーンコントロールである程度補正して聴くと良いと思う。CD化された1番・2番・4番はこのあたりがかなり改善されており、3番のCD化を望むのもそういう音質向上を期待してのことである。
CD2枚組で4曲収まる筈だし、ハイドン・バリエーションとかも含めてCDで全集を出して欲しいものだ・・・(了)
The Fabulous Philadelphia Sound Series - Brahms : The Four Symphonies その1 ― 2009年08月01日 12時56分
((C)(P)1972, Gray Label 3LPs)
THE FABULOUS PHILADELPHIA SOUND SERIES
BRAHMS : THE FOUR SYMPHONIES
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
also available on CDs
●Symphony no.1 & no.2 - 米Sony Classical SB2K63287
(P)1972,1980,1997 / (C)1997 (2 CDs)
●Symphony No.4- EMI Classics(IMG Artists)
GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY Series
7243 5 75127 2 5 (UK:CZS5751272) (P)2002 (2CDs)
残念ながらCD化の気配が途絶えたままとなっている、オーマンディ・フィラデルフィアによるブラームスの交響曲全集です。
横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィによると、オーマンディのブラームス(交響曲)の録音歴は下記の通り。
Brahms
Sym. No.1 [M]50/11/05 (C)
Sym. No.1 [M] LIVE in Moscow 58/05/29
→ (Melodiya) LP M10-47161
Sym. No.1 [S]59/02/08 (C)
Sym. No.1 [S]68/05/19 (C) ● → available on CD
Sym. No.2 [M]40/02/26 (R)
Sym. No.2 [M]53/02/15 (C)
Sym. No.2 [S]66/04/06 (C) ● → available on CD
Sym. No.3 [M]46/04/19 (C)
Sym. No.3 [S]67/01/31 + 67/03/13 (C) ●
Sym. No.4 [M]44/11/19 (C)
Sym. No.4 [S]67/10/25 (C) ● → available on CD
[M]ono,[S]tereo, [Label]:(C)BS, (R)CA
横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィ
http://www.geocities.jp/ormandy/ormandy_disk.html
●印がこの3枚組のLP全集に収められている演奏。残念ながら3番のみが未CD化であり、CD化された演奏もそのCDが入手困難な状況となっているため、いくらこの演奏が素晴らしいと言っても、入手出来ない録音ではどうしようもない・・・という状況となっている。
CD化については、ソニー・ミュージック・ショップのオーダーメイドファクトリーにリクエストを出すしかないようである。
ソニー・ミュージック・ショップ - オーダーメイドファクトリー
http://www.sonymusicshop.jp/ordermf/index.html
採算に見合うだけのリクエストが集まれば、CD化実現の可能性もあるということだろう。CD化を希望する方はリクエストを出してみては如何?私もとりあえずリクエストをしてみました。
以前、ソニー・ミュージック は「クラシック復刻館」でリクエストを募っていたが、どうやら今は活動停止のようである。また再稼働して欲しいものであるが・・・ここからは、ゼルキンとのブラームス2番ピアノ協奏曲やマーラーの10番交響曲(クックの演奏会バージョン)という超弩級の復刻が成されているし・・・
SME クラシック復刻館
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Classical/Special/fukkokukan/
Mahler: Symphony No.10 (Performing version by Deryck Cooke)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/eugeneormandy/?SICC-534
BRAHMS:PIANO CONCERTO NO.2(Piano;R.Serkin)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/RudolfSerkin/?SICC-536
さて、とりあえずCD化が期待出来ないとなると、あとは過去に出たCDかLPを探すしかない。1番・2番・4番はCDを探すことも出来るが、3番はLPしか聴く手段がない。
なんだかんだ言って、10年近く オーマンディ・フィラデルフィアのLP・CDを探してきたけど、ステレオ録音のブラームスのシンフォニーでもっとも目についたのが、この3枚組の全集なのだ。国内・海外を問わず、これ以外のLPは全くといって良いくらい見たことが無い。(バラでも出ていると思うのだけど・・・)
バラ売りの1番と4番は「CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300」から出ているが、オーマンディのブラームスはあまり売れなかったのか、中古屋で殆ど目にしたことがない。
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 全50巻 その2
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/07/25/4456495
vol.18 SOCT-18 ブラームス:交響曲第1番
http://boukyaku.asablo.jp/blog/2009/02/23/4136752
vol.19 SOCT-19 ブラームス:交響曲第4番
2番と3番はさらに可能性が低いように思える。「CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300」にも入ってないし、その後の「オーマンディ名曲ベスト30」にはブラームスのシンフォニーは全て省かれているし・・・
日本コロムビア、そしてCBS/SONYから販売されていないことはないと思うのだけど、ホントにお目にかかれないのである。不思議だ・・・(続く)
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