ブラームスのピアノ協奏曲第2番 ― 2013年03月23日 07時40分

Brahms : Piano Concerto No.2
Rudolf Serkin(piano)
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded 1956 at broadwood Hotel, philadelphia
(収録年と会場はハントのディスコグラフィより)
1960年のステレオ録音はCD化されているが、このモノラル盤もなかなかいいですよ・・・

米Columbia Masterworks のモノラルLpからステレオLpに移行する前の "360" SOUND ロゴ。これはステレオLpに移行して暫くしてまた使われることになるが・・・


技術的な「売り文句」がしっかりと並んでいる・・・Guranteed High Fidelity in "360" Hemispheric Sound ・・・ 要は拡がりのある音が楽しめますよ・・・ということかね・・・

Guranteed High Fidelity in "360" Hemispheric Sound
当時のインナー・スリーヴ。Lpの取扱方法とレコード針の種類(ダイヤモンド・サファイア・オスミウム)についての解説がなかなか面白い。

では。
ストラヴィンスキー「火の鳥」とムソルグスキー「展覧会の絵」 ― 2013年03月22日 05時00分

Stravinsky : Suite from L'oiseau de feu
Mussorgsky-Ravel : Pictures at an Exhibition
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded 1953 at town hall, philadelphia
「火の鳥」「展覧会の絵」がLp片面ずつに入ってます。当時の最新技術である「ヴァリアブル・ピッチ」がこの長時間収録を可能にしたのでしょう。Lpジャケットの解説にもこの「ヴァリアブル・ピッチ」についての解説があります。

当時としてはかなりの「ハイファイ録音」でしょう。バス・ドラムの一撃・ブラスの咆哮など、今聴いてもかなりのレベルで収録・カッティングされています。磁気テープによる収録に切り替わってかなり安定した頃の録音でしょうか・・・会場の残響からして、それまでのデッドなAcademy of Music ではなくtown hallの収録と思われます。(ハントのディスコグラフィにも収録はtown hallと記載されています)
演奏は、ステレオ時代とことなりグイグイと押す推進力が前面で出てます。モノラル収録の「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」のうち「春の祭典」はCD化されましたが、「火の鳥」「ペトルーシュカ」もこのまま埋もれさすには惜しい演奏です。
ちなみに、「火の鳥」の使っている版については3種類とも大きな違いはなさそうです。

初出LpはBlue Label のフラット盤でしょうが、手持ちは6eyesのグルーヴ・ガード盤。Blue Label のフラット盤は状態の良いのが少ないので、6eyesのグルーヴ・ガード盤の方が(私の聞いた範囲では)良いですね。
では。
Ormandy & Philadelphia, Prokofiev, Weinberger & Bizet ― 2012年01月01日 09時50分
今年は昨年よりも良い年であることを願って・・・
今年の聴き始めはコレ・・・ビゼーのシンフォニーを聴きたくなって・・・んで、このモノラル盤を引っ張り出しました・・・(以前書きましたが)
Prokofiev : Classical Symphony
Weinberger : Schwanda - Polka & Fugue
Bizet : Symphony in C
recorded 1955
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
スナック・シンフォニー2曲にワインベルガーのポルカ・・・面白い組み合わせと言えないこともないが・・・
ライナーは四段組で曲目解説のみ。右下にオーマンディ/フィラデルフィアのレコードカタログ数枚の紹介あり。
このLP、ラベルだけでなくLPそのものもスピンドル穴がオフ・センターで、内周に来るとピッチの揺れが分かる程だ。再生中、カートリッジも左右に揺れるのが分かる。
ターンテーブルのスピンドル径を小さくしてレコードをずらして修正出来る・・・そんなプレーヤーがあるといいのだが・・・
Columbiaモノラル期のマエストロとフィラデルフィアの演奏、後年のRCAステレオ期とはまた違った彼らの側面が聴ける。
ま、今年はこんな調子でいきたいものですなあ・・・んでは。
Carl Orff : Carmina Burana その2 ― 2010年07月10日 10時43分
Cover Collage:Philip Featheringill
Carl Orff : Carmina Burana
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
Janice Harsanyi(s), Rudolf Petrak(t), Harve Presnell(b)
The Rutgers University Choir(F.Austin Walter,director)

ちなみに、ジャケットのライナー・ノーツは曲目解説と、そしてカーネギー・ホールで演奏されたCarmina Burana(この録音と同じメンバー)についての(好意的な)批評が掲載されている。こういう文章を読むのもLPの楽しみの一つ。
んでは。
Ormandy & Philadelphia - R.Strauss : Don Juan, Death and Transfiguration ― 2010年07月01日 05時00分
R.Strauss:Don Juan(rec.1960)
Death and Transfiguration(rec.1959)
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
どうも、米Columbia Masterworks のジャケットデザインは泥臭くて今ひとつの感があるが・・・ジャケット右下に小さく (C)Columbia Records 1962 とあるので、恐らく1962年発売のLPだと思われる。
この演奏、横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィ によればどちらもCD化されているのだが、残念ながら私は一度もお目にかかった事が無いし、ネット上でも見たことはない。何処かでローカル・リリースされたのだろうか・・・
John Hunt のディスコグラフィによれば、 「死と変容」は SBK46457 というCDがあるという。型番から察するに SME の Essential Classics Series だろうが、そんなのは見たことが無い。 「死と変容」は SME の Essential Classics SBK53511(amazon.com) にあるが、それは Szell/Cleveland の演奏だ。ちなみに、このシリーズで出ている「ドン=ファン」(SBK48272、amazon.com)も Szell/Cleveland の演奏。
ということで、特に期待もせずネットで探したら思わぬものが引っかかった。ポーランドのAkademia Wychowania Fizycznego i Sportu im. という所の図書館の蔵書みたいだが・・・
STRAUSS: THE GREAT TONE POEMS (ALSO SPRACH ZARATHUSTRA, DON QUIXOTE, DON JUAN, TOD UND VERKLÄRUNG, TILL EULENSPIEGEL) / PHILADELPHIA ORCHESTRA ; EUGEN ORMANDY
CBS RECORDS MASTERWORKS M2YK 46457
[Holland] : CBS Records Inc., 1990.
どうやらこれに間違い無いようだ。オランダCBSのローカル・リリースで出ていたとは・・・とにかくディジタル・リマスターは作られているようなので、変にノイズ除去等の編集をせずに素直に出し直して欲しいものである。
【2010年7月4日追記】
よこた さんよりこのCDについての情報を教えて頂いた。(オーマンディ掲示板のレ ア盤)よこたさんによれば、CDに「オランダ製」との記載は無いとのこと。CBS Maestro という2枚組。う~ん、見たことなかったなあ・・・

ラベルは 6eye これも ステレオ創世記のLPである。「死と変容」と「ドン=ファン」をそれぞれ片面にカッティングしている。演奏・録音ともに優秀。後年のRCA Red Seal ステレオ録音のほうがスケール雄大な演奏だが、こちらは颯爽たる躍動感が心地よい。
この当時の米Columbia のLPはなかなかいい音がする。録音・カッティング・プレスの技術がかなり安定してきた時期なのだろう。
国内盤LP(CBS/SONY 「オーマンディ 音の饗宴1300」 Vol.41 13AC276 )は、さらに「ティル・・・」を加えて、「ティル・・・」「ドン=ファン」を片面に詰め込んでお買い得感を出している。「死と変容」は片面をフルに使っているが・・・「ドン=ファン」は後半にカットされているので、残念ながら音はこのMS盤には及ばないが、MS盤より入手は容易と思うので見かけたら入手しても損は無いと思う。たぶん300円から500円くらいで買えると思うし。
この当時のインナースリーヴも見ていて実に楽しい。Masterworks Heritage Series の紙ダブルジャケット仕様のCDではこのインナースリーヴも復刻されていたが、ジュエルケース仕様CDでは割愛されていた・・・

Ormandy & Philadelphia - FINLANDIA ― 2010年06月30日 06時30分

Grieg:Peer Gynt Suite No.1, Sibelius:Valse Triste
Alfvén:Swedish Rhapsody, Sibelius:Finlandia with Choir
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
The Mormon Tabernacle Choir
ステレオ創世記の録音・プレスのLPですな。ラベルはColumbia Masterworks の 6eyes。

カッティング・マシンが変わったとか、テープのイコライジングを変えたとか、プレス機を変えたとか、レコード原材料を変えた・・・等々、ラベルが変わった ことでそういうものが変わったかどうか・・・それは当時関わったプレス工場関係者でなければ解らないだろう。それを裏付ける資料があるかどうか・・・この辺りの事情、どなたかご存じですか?
・・・かといって、違いがない・・・とも言い切れないのが面白いところ。私には違いが解らないだけであって、それで「無い」とも言えない。ただ、同じスタンパーでも1枚目のプレスと100枚目のプレスではまた音が違うだろうし・・・追求していくとキリがない。ま、色々なケースを自分の耳で聞いて判断するしかないでしょう。それもまた楽し・・・というヤツですかな。
産業デザインとしては2eyes よりも 6eyes の方が好きだし面白い。このラベルがターンテーブル上でクルクル回るのを見るのは楽しい。これもレコードを聴く楽しみの一つだと思っている。
とはいえ、このLPは状態が良く、音もなかなかいける。低音も自然なバランスでカッティングされており、セッション会場の空気感も感じられる。オーケストラのバランスもいい。フィンランディアはコーラス込みのせいか、オーケストラのみの録音よりは落ちるが・・・オーケストラとコーラスのバランスをとるのは難しいようだ。
んでは。
Ormandy & Philadelphia - Stravinsky's "Le Sacre du Printemps"(1955) & "Petrouchka" (1954) ― 2010年06月11日 07時20分

Stravinski : Le Sacre du Printemps, Petrouchka - suite
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded 1955(Sacre), 1954(Petrouchka)
RCA Victor は既にステレオ録音に手を付け始めた頃だが、Columbia Masterworks はまだまだ・・・RCA Victor はLPでColumbia に先を越されたということもあって、ステレオへの取り組みは早かったそうな・・・
ジャケットの絵は DORIS LEE と右下に小さく表示されている。正直、あんまりいい絵とは思えないが・・・ジャケット上部の"THE WORLD'S GREATEST ORCHESTRA" がいかにも米Columbiaというかアメリカ的?なキャッチ・フレーズである。この当時の米ColumbiaのLPにはこういう文句が堂々と登場して微笑ましい。まあ、看板に偽りは無いけど・・・
ジャケット裏のデザインは"Lp"を強調した簡素なもの。ジャケット下側に
"PERMANENT" NEEDLES MAY CAUSE PERMANENT DAMAGE.
とある。この当時から「永久針」なるまがい物が横行していたのかな。その下には「永久針なんてありません」と重ねて注意を喚起している。針寿命の比較表がその右に記載されてますな・・・(そういえば、このことは以前ホームページにも書きましたワ・・・)
当時の針種類と特徴が解りやすい。
記載されているのはダイヤモンド・サファイア・オスミウムの3種類。オスミウム はwikipedia によると、
The stylus (needle) in early phonograph designs was also made of osmium, especially for 78-rpm records, until sapphire and synthetic diamond replaced the metal in later designs for 45-rpm and 33-rpm long-playing records.
だそうな。ちなみに、米Columbia はLP用のカートリッジとしてクリスタル型(圧電素子)の製品を最初に出している。今は電磁誘導タイプのMM、MCが普通だが、当時はまだまだ諸方式の評価が定まってなかったのだねえ・・・
ま、それはさておき、磁気テープによる録音もかなり安定した頃の録音である。各パートの音が結構クリアに聞こえるので、マルチマイクによる収録かな・・・結構残響が入っているので、会場もAcademy of Music ではないようだ。既に Town Hall へ移ったのかな?

手元の盤は6eyes のフラット盤。グルーヴ・ガード盤かと思ったけど、よく見るとフラット盤だった。初出は Blue Label だと思うけど、Blue Label は盤質の良くないものが多いので、6eyes の方が無難。この盤は結構傷だらけだけど、思ったよりノイズは少なく充分鑑賞に耐える。
会場の暗騒音(低域ノイズ)も良くキャッチされていて、それがしっかりと盤に刻まれている。ソロ・パートをピックアップしようしてボリューム操作をしたのか、所々超低域ノイズが増えてくる箇所がある。会場外の車のノイズも結構しっかり聞こえる。この当時は低域ノイズをカットしていなかったのかな?
肝心の演奏について、う~ん・・・流石にアンサンブルは後年のステレオ録音には及ばないけど、ぐいぐい引き込まれる推進力にはたまげた。特にペトルーシュカが録音・演奏ともにいいと思う。
ステレオ録音のペトルーシュカは1911年初版(4管編成)の抜粋版を売りにしていたが、この盤は 1947年版(3管編成) なのだろうか・・・解説にはその辺りの記載はないが、ステレオの時と同じ4管でやっているような気もする。
あと、春の祭典はどのエディションを使っているのか・・・というのが気になるところ。第2部の最後の方はエディションによってかなり印象が変わるというか・・・wikipedia によれば、
①自筆の初演版
②1921年の初版
③1929年の初版第2刷
④多くの改訂がされた1947年版
⑤さらに修正を加えて版を新たに起こした1967年版
があるそうで、この録音は1955年だから、1947年版・・・ということかな?
手元にはもう一枚、日本コロムビア盤がある。

WL5219 Blue Label LP
デザインは米Columbia盤をほとんどそのまんま・・・である。上部をちょっといじってるくらいかな。ペラペラの所謂ペラジャケで、米盤ジャケットの複写なのか文字がにじんで幾分精細を欠く。右下の絵描きさんの名前も消されているし・・・
後ろの解説は力が入っている。ディアギレフとストラヴィンスキー、そしてペトルーシュカの舞台写真もあるし、志鳥栄八郎氏による丁寧な解説が付されている。但し、演奏者については一切記載無し。米盤もそうだけど、当時はこんな感じなのかな・・・

レコードラベルは米Columbia と全く同じのBlue Label 。これは、日本コロムビアの川崎工場でプレスされているので、米コロムビア版と区別する意味で通称「川崎盤」と呼ばれているそうな・・・
この盤は米コロムビアから原盤を輸入してプレス・・・ではなく、テープから日本コロムビアでカットしてプレスしたもののようだ。米盤とは溝が異なるし音も違う。
盤そのものは米盤6eyesよりずっしりとして重い。しかし、見た目はそうキズがあるわけでもないのに、結構スクラッチ音は多いし、低域ノイズをカットしているようで、米盤の生々しさから後退した少々おとなしい音になっている。自動車のノイズも殆ど聞き取れない。たぶん、車のエンジン音も含めた低域ノイズは宜しくないという判断でノイズカットをしたのだろう。この辺りは日本と外国との感性の差なのかな。

久々のモノラル盤なので、Ortofon OM D25M を引っ張り出した。ヘッドシェルは Audio Technica AT-10G RD 付属のもの。 OM D25M は背が高くて、アームが前上がりになり具合が宜しくない。残念ながら、Technics SL-QX300P(オー ディオの足跡) はアームの高さを調整できないので、ヘッドシェルで対応するしかない。たまたま手元にあったAT-10G RD のヘッドシェルがちょうどいい具合で納まった。
このカートリッジは4gの針圧をかけるので、重めのシェルも幸いした。サブウェイトを使わずにゼロバランスもなんとかとれ、且つ4g加圧もO.K.。 インサイドフォースは2gマックスだけど実用上支障ないのでこれで良し。
んでは。
Istomin, Ormandy & Philadelphia - Tchikovsky's Piano Concerto No.1 ― 2010年06月03日 06時50分
6eyes LPs
Tchaikovsky Piano Concerto No.1
Eugene Istomin(piano)
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded on 19 april 1959 in the town hall, philadelphia
この演奏、横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィによれば過去にCD化されているのだが、残念ながら、未だにそのCDの姿を見ていない。番号すらワカランのだ・・・10年以上探しているんだけどなあ・・・
・・・ということで、仕方なく?LPで聴いている・・・というか、LP収集を再開したのは、このコンビのCD化されていない演奏を聴きたくて・・・というのがその動機だったのだが、いつの間にかLPで聴く方が多くなってしまった。本末転倒とはこのことか?ま、それはどうでもいいが、実にいい演奏なのに、CD化されずにこのまま埋もれるのは実に惜しい・・・Essential Classics でもCD化から漏れてしまった様だし・・・本当に惜しい・・・
ちなみにこの演奏、モノラルのレギュラー盤(ML5399)とステレオ盤(MS6079)の2枚が手元にある。ジャケットデザインはステレオ盤とモノラル盤で若干の違いがあるが基本部分は共用している。
レコードラベルはどちらも 米Columbia Records の当時のトレードマークであるWalking Eye を6つ並べた Columbia Masterworks 6eyesラベルである。
ステレオLPが出始めた当時は、ステレオ録音でもモノラル盤とステレオ盤が併売されていた。録音セッション時でもモノラル盤・ステレオ盤併売を考慮して収録してたようで、3chテープ録音機に Left,Center,Right の音を収録、モノラル盤にはCenter の音を、ステレオ盤には Left, Right にある程度 Center の音をミックスしてカッティングしていたようだ。
だから、モノラル盤といっても単純にステレオ両chの音を混ぜているのではない。セッション時のミキシングそのものが異なっているので、この当時のステレオ盤とモノラル盤ではオーケストラのバランスも全く同じでは無いはず。ま、そんなに顕著な違いが現れるとも思わないけど・・・
ちなみに、当時のステレオ対応でないピックアップ(カートリッジ)はモノラル盤の横振動しか考慮していないので、ステレオ盤に含まれる縦振動の動きに追従できず盤の溝を痛めてしまうということで、当時のステレオLPには「このレコードをステレオ対応していないピックアップで再生するべからず」と注意書きのされているものもある。
ま、暫くするとステレオ対応していないピックアップでも縦方向の振動を考慮した製品が出てきたようで、LPにも「このステレオレコードは現在のモノラルピックアップでも再生可能」と書かれるようになったが・・・
また、ステレオLPが出始めた当時は、ステレオに対する批判も結構あったようで、このように同じ演奏がステレオ・モノラル両方で出た時、評論家がモノラル盤に軍配を上げるレビューを書いていることも珍しくなかったそうな。
ステレオ盤は縦方向の振動も含むので、横振動のみのモノラル盤よりも当然のことながら、カッティング・プレスに精度が要求されるわけで、ステレオ盤が出た当初はそのあたりがまだ完全には克服されていなかったようで、モノラル盤の方が音がよいという判断もあり得たと思う。再生側の問題もあったかもしれないけど・・・おっと、ヨタ話失礼!
お次は、1977年プレスと思われるオデッセイのリカット盤。

The Great Columbia Stereo Recordings
6eyes盤の1面はラベル外周あと2cm弱付近までカットされているが、このオデッセイ盤はラベル外周からその倍以上の余裕を残してカットされている。このオデッセイ盤には記載がないが、別の演奏のオデッセイ盤には、
... they have been re-mastered, using the most advanced cutting techniques, to produce sound that is the touchstone of the recording art. ...
とあり、従来盤より音質の向上を図った旨が記載されている。6eyes盤 と この Odyssey盤 のどちらの音が良いか? というのは何とも言えないが、曲の終わりのクライマックス部分が内周から離れているのは内周歪みを避けるという意味では音質的に好ましいと思う。

ただ、状態の良い 6eyes盤 はなかなか入手できないので公正な比較は難しい。アメリカではLPなんか消耗品扱いだから、状態の良いものは少ない。残念ながらこの 6eyes盤 も 衝撃を受けた跡があり、1面の一部が多少ひび割れている。LPにひびを入れるには余程の衝撃がないと・・・こんな状態でも「パチン」という音とともにちゃんとトレース出来るのだから、LPの耐久性は大したものだが・・・
再発・リカット盤のOdyssey盤(この盤も結構傷だらけだけど幸いなことにあまり音には出てこない)の方が状態が良いものが多いと思う。
・・・ということで、今のところはLPで楽しんでいるが、それでもCD捜索を続けている・・・のである。
んでは。
Ormandy & Philadelphia - Brahms : Symphony No.3, 1967 ― 2010年03月27日 17時15分
桜も・・・
春なの~に~(誰の歌だったっけ?)何故かもの哀しいというか・・・こういう時はブラームスの交響曲第3番 がエエですな・・・男の美学・・・というかセンチメンタリズムというか・・・お師匠さんの奥さんに想いを寄せながら結局くすぶったままで生涯を終えた偏屈男ブラさんですが、そのくすぶりが音楽になるとこうなるんですかねえ・・・こういう女々しいのは男独特のもので、女性にはたぶん理解出来ないのではないか・・・演歌で歌われる女性像は男の願望というか妄想の類(作曲家・作詞家みんな男)だし・・・などど、根拠があるのかないのか、しょ~もないことを書き連ねる、元祖天才バカボンの春であった・・・
・・・閑話休題・・・
ブラームスのシンフォニーと言えば、やはりこの演奏でしょう・・・

((C)(P)1972, Gray Label 3LPs)
THE FABULOUS PHILADELPHIA SOUND SERIES
BRAHMS : THE FOUR SYMPHONIES
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
この全集は以前ブログ(2009年8月1日、その1 と その2 )で取り上げているが、筆者の気まぐれにより再登場と相成った・・・
Columbia Masterworks に1960年代後半にステレオ録音された、オーマンディ と フィラデルフィア管弦楽団 によるブラームス交響曲全集は、その演奏の素晴らしさによりファンから長年熱いCD化要望・期待が寄せられているが、にもかかわらず、未だこの交響曲第3番はCD化されていない・・・この演奏を聴くとゾクゾクするんだけどなあ・・・2楽章終わりの弦セクションのポルタメントなんてホント・・・埋もれさすには惜しい・・・
横田さんのオーマンディ・ディスコグラフィ によると、ブラームス交響曲のColumbia Masterworks ステレオ録音は下記の通り。
Brahms Symphonies(Stereo Recordings)
Sym. No.1 [S]59/02/08 (C) (未CD)
Columbia Masterworks MS 6067
Sym. No.1 [S]68/05/19 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 vol.18 SOCT-18 LP
Sym. No.2 [S]66/04/06 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
Sym. No.3 [S]67/01/31 + 67/03/13 (C) (未CD)
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
Sym. No.4 [S]67/10/25 (C) available on CD
Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set)
CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 vol.19 SOCT-19 LP
[S]tereo, [Label]:(C)BS
1959年録音の1番は日本では発売されていないのではないかな・・・私は見たことないし・・・これは米Columbia盤。ある方から譲って頂いたもの。


その1968年録音のブラ1のこの国内盤LPは思い入れが強くて・・・手放せませんな・・・マエストロが神の如く崇めていたトスカニーニのスコア改訂をそのまま踏襲した強烈演奏を初めに聴いてしまうと、楽譜通りの演奏が凄くつまらなくなる、じつに困った演奏でもある。


残念ながら、オーマンディ 音の饗宴1300 の 4番のLPは持ってません・・・ま、同じデザインなんだけどね。
以下はCD。これも現在は入手困難なのが残念・・・
also available on CDs
●Symphony no.1 & no.2 - 米Sony Classical SB2K63287
(P)1972,1980,1997 / (C)1997 (2 CDs)
(amazon.co.jp, amazon.com)

とあるレコード店の店頭でこのCDを見つけて驚喜したのも懐かしいなあ・・・もう10年以上前のことである・・・
●Symphony No.4- EMI Classics(IMG Artists)
GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY Series
7243 5 75127 (amazon.co.jp, amazon.com)

4番は思わぬ所からCD化されたが、これも今は残念ながら入手困難・・・
・・・ということで、今のところ、交響曲第3番 を聴くには Columbia Masterworks D3M31636(3LP Set) を入手するしかない・・・と思う。4曲のシンフォニーを3枚に詰め込んで、バジェット・プライスで大量にプレスしたのだろう・・・と思う。バラ売りはしなかったんじゃないかな・・・と思えるほど、それらのLPを見かけない。
日本では CBS/SONY オーマンディ 音の饗宴1300 シリーズで 1番と4番は1枚物として発売されているが、2番と3番はこのシリーズに入っておらず、日本でも1枚物LPとしては発売されていないのじゃないかな・・・
この3枚組LP、オートチェンジャーでかけることを前提に面割りしてプレスしているので、通常のプレイヤーでは面倒なのだ・・・
RECORD 1
↓Side1 - 交響曲第1番 1~2楽章
↑Side6 - 交響曲第4番 2~4楽章
RECORD 2
↓Side2 - 交響曲第1番 3~4楽章
↑Side5 - 交響曲第3番 3~4楽章、交響曲第4番 1楽章

RECORD 3
↓Side3 - 交響曲第2番 1~3楽章
↑Side4 - 交響曲第2番 4楽章、交響曲第3番 1~2楽章

つまり、3番を聴くのに2枚のLPをかけなければならないのだ・・・オマケに、1楽章と2楽章は2番の4楽章の後にカットされているので内周寄りで音質があまり宜しくない。3楽章と4楽章は片面アタマからカットされているので1楽章と2楽章より音は良いが、同じ面に4番の1楽章を詰め込んだ為ダイナミックレンジが犠牲になっている。ま、レコードのバジェットが厳しかったアメリカではやむを得ない処置とも言えないこともない・・・
やはりこれはCD化してもらわないとイカン・・・頼むぜ!タワーレコードさんよ!全国のオーマンディ・ファンの為にも・・・マスターテープの劣化が進行する前にとっととディジタル・マスタリングして出さないと逮捕な~のだ!
んでは。
Ormandy & Philadelphia - Beethoven Symphony no.5 & Mozart Symphony no.40, mid 1950's ― 2010年03月27日 08時50分

Beethoven : Symphony no.5 in C minor
Mozart : Symphony no.40
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
アメリカではこの組み合わせが売れていたのではなかろうか・・・作曲年代も近いし・・・両曲ともLP片面に収まるし・・・ジャケットの双頭の鷲は最初?だったけど、よく考えたらベートーヴェンもモーツァルトもハプスブルク王朝時代の人だったなあ・・・ちょうどナポちゃんに荒らされてた頃か・・・傲慢不遜な双頭の鷲・・・東西冷戦もなんのその、資本主義・共産主義、 どちらの服も着こなして、いまだに存在し続けている。主義なんてファッションに過ぎないというのは実に慧眼である。(さて、今の彼らの”ファッション”は・・・)
ナントカの対立構造・・・なんてのに振り回されると酷い目に遭いまっせ・・・くわばらくわばら・・・「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」・・・歴史は夜作られるのねえ・・・「夢は夜開く」・・・は園まりだが・・・そういえば、「まりちゃんと一緒」というLPもあったな・・・気が向いたら取り上げよう・・・
閑話休題
ベートーヴェンは1955年、モーツァルトは1956年の録音。磁気テープ録音が商用ベースに乗り始めたのが1940年代後半だから、それからほぼ10年後のセッション録音ということになる。

この頃になると磁気テープ録音のノウハウもある程度確立されてきており、またディスクへのカッティングのノウハウも蓄積されてきたのだろう・・・かなり鮮明な音が刻まれている。ハントのディスコグラフィによれば、どちらも Town Hall の録音とある。確かに、それなりに残響があるので、デッドな Academy of Music とは考えにくいですな。
ちなみに、米Columbia は1940年代初めからマスター・レコ-ディング用に40cmのラッカーディスクを使っていたそうな。このディスクは33・1/3回転、一面に15分連続録音可能、このマスターディスクを再生して製品用の78回転盤のワックス・マスターをカッティングしていたそうな・・・1944年のColumbia Masterworksへの移籍から1950年前後の磁気テープ録音以降までのオーマンディ と フィラデルフィア管弦楽団 の録音はこの40cmのラッカーディスク を使っていたのかな・・・この当時の録音はLPで聴けるが、非常に針音が小さいし、低音の量感も結構ある。ラッカーディスク → 磁気テープ → LP用のラッカーディスク という形でLP化したのかな・・・であれば何となく納得出来ないこともない。
このベー トーヴェンは後年のステレオ録音より推進力があって、人によってはこちらの方がいいということもあるかもしれない。モー ツァルト もスッキリとした造形なんだけど、ポルタメントも控えめではあるが使われており、なんだかんだ言っても 19世紀生まれのマエストロ なんだなあ・・・と改めて考えた次第。音楽の基礎は ブダペスト王立音楽院(現在の リスト音楽院) 仕込みだしね・・・
どうも話が脱線しっぱなしだなあ・・・では、このへんで。
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