「アルルの女」と「カルメン」2009年03月19日 08時11分

SERAPHIM AA-5012(LP)
Bizet
"L'Arlesienne" suite No.1 & No.2, "Carmen" suite No.1
Heinz Wallberg/The Philharmonia Orchestra

東芝音楽工業/SERAPHIM AA-5012(LP)
THE SERAPHIM GUIDE TO THE CLASSICS
(セラフィム名曲シリーズ)

小さい頃に聴いた音のイメージというヤツは、大人になってからの音楽や演奏の好みを大きく左右する。特に繰り返し聴いて頭に焼き付けてしまうとさあ大変、酷い場合は他の演奏を全く受け付けなくなってしまうから困ったものだ。そこまで行かなくても違和感を拭い去れないことが多い。

んで、ガキの頃に家にあった「アルルの女」と「カルメン」のレコードがこれ。この演奏がアタマに焼きついて離れない困りモノ。

とうの昔にレコードジャケットは紛失、レコードも傷だらけ。CD化もされていないようだが、今一度ちゃんと聴きたいと思っていた。中古レコード屋でエサ箱を漁っている時も、頭の片隅にこのレコードのことがあった。

特徴のあるレコードラベルデザイン、東芝音楽工業の廉価レーベル SERAPHIM 盤、ハインツ=ワルベルク指揮フィルハーモニア管弦楽団演奏のステレオ録音。手がかりはこれだけ。

セラフィムというのは「熾天使(してんし)」のことで、天使の位階のひとつだそうな。

熾天使(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%BE%E5%A4%A9%E4%BD%BF

このセラフィムレーベルも、バラ(と思うが)を右手に持ち左手で指差しながら天使の羽(蝙蝠に見えないことも無い)を羽ばたかせて飛んでいるイメージなのだろうか・・・

アメリカと日本ではニッパーマーク(His Master's Voice)が使えなかったことから使用されていた Recording "ANGEL"レーベル の廉価レーベルということで SERAPHIM レーベルが生まれたのだろう。 "Angels of the highest order"とあるので、格は SERAPHIM の方が上かな?まあ、廉価盤レーベルは本家より格上の名前をつけるのが常だけど。

Angel Records(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Angel_Records

Seraphim Records(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Seraphim_Records

His Master's Voice(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/His_Masters_Voice

こういう廉価盤は1950年代後半から1960年代の「昔のステレオ録音」で構成されていたと思うが、案外こういう録音に名演奏がごろごろ転がっているので無視できない。

で、最近ようやく見つけたのがこのLP。状態もすこぶる良く、500円也で入手。中古レコード市場ではこのようなクラシック国内盤は「商品価値無し」でタタキ売り状態?なのでありがたいことだ。

茶色(管弦楽とか室内楽とかで色分けされているかも)で統一されたジャケットデザイン。真ん中には名画(このレコードはゴッホの絵かな?)。解説もクラシック入門に相応しく曲目解説が中心。演奏者紹介は簡素なものである。クラシック啓蒙運動中?という雰囲気が懐かしい・・・

演奏はなかなかいい・・・というか昔の聴いたまんまの演奏だな。

ウォルター=レッグが解散を宣告する前のフィルハーモニア管弦楽団の演奏だろうか。解散後は New Philharmonia(その後また Philharmonia に戻っているが)と名称を変更して活動を継続しているから。レッグが名前の使用を認めなかったらしいが・・・

Heinz Wallberg(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Heinz_Wallberg

The Philharmonia Orchestra(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Philharmonia_Orchestra
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3

ウォルター・レッグ(Walter Legge)(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B0

特徴のある演奏ではないのでCD化は難しいかもしれないが、埋もれさすには惜しい演奏だ。まあ、こうして昔のLPと再開出来たので良しとするか・・・