ウラディミール=スピヴァコフ指揮、ロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団 名古屋公演 その42009年06月21日 08時25分

コンサートパンフの興味深い記事は、一柳富美子氏による「ロシア音楽界の現状と、スピヴァコフ&NPR」である。

「100年に一度と言われる大不況は、ロシア音楽界にも深刻な影を落としている。・・・」で始まる内容は衝撃的な事実である。あの頑健と思われたソヴィエトのオーケストラ群が現在は・・・

大変参考になったのが氏による「モスクワ・オーケストラ界概観」である。今のモスクワの主要オケを簡潔にまとめている。以下列記すると・・・

●State Academic Symphony Orchestra Of Russia
(Svetlanov Symphony Orchestra)
http://www.gaso.ru/

スヴェトラ御大の旧ソヴィエト国立響オケの現在の姿である。現在のMDはMark Gorenstein 。

●Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow
(formerly known as Moscow Radio Symphony Orchestra)
http://eng.bso.ru/

1974年以来、MD は Vladimir Fedoseyev である。現在も旧モスクワ放送響の名前で日本ツアーが行われているが、そろそろ現在の名前に変えてもいいんじゃないの?という気がしてる。

●Bolshoi Theatre
http://www.bolshoi.ru/

ボリショイ劇場 のオーケストラ。MD は Alexander Vedernikov 。

●Moscow Philharmonic Orchestra(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3

オケのサイトが見当たりませんね・・・。キリル=コンドラシンとの録音は手元にあったかな・・・現MDは Yuri Simonov 。

●State Symphony Capella of Russia(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%9A%E3%83%A9

1980年初頭、「ソヴィエト国立文化省交響楽団」の名称で華々しく宣伝されていたことを思い出す。優秀な音楽家を揃えて、ロジェストヴェンスキーを音楽監督にして創設されたと・・・確か、このコンビによるショスタコの5番が当時最新鋭のディジタル録音でビクターからLPが出ていたような記憶が・・・現MDは Valeri Polyansky 。

●Russian National Orchestra(ロシア・ナショナル管弦楽団)
http://www.russianarts.org/rno/

今回聴いた、National Philharmonic of Russia(ロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団)とは全然別の団体。ホントややこしい。加えてわかりにくい日本語表記・・・ね。

"なんたら Symphony Orchestra" なら 「なんらた交響楽団」
"なんたら Orchestra" なら 「なんたら管弦楽団」
"なんたら Philharmonic Orchestra" なら 「なんらたフィルハーモニー管弦楽団」

くらいなら解るけど、"Symphony Orchestra"が付いていなくても「交響楽団」ということもある。地元名フィルも"Nagoya Philharmonic Orchestra"なのに 「名古屋フィルハーモニー交響楽団」だし・・・そもそも National は「国立」 だよねえ? Orchestre National de France とかあったような。そのまま「ナショナル」だと、今はパナソニックになってしまった松下電器みたいなイメージ・・・「♪あっ・かっ・る~い、ナッ・ショ・ナ~ル」・・・だな

話戻して、このオケはロシア初の契約制によるオケなんだそうだ。レベルは高いが出入りも激しいらしい。1990年に Mikhail Pletnev が創設し 1999年までMDを務める。 1999年~2002年は Vladimir Spivakov で、 2003年以降は Mikhail Pletnev だそうな。

来月来日公演があるけど、名古屋には来んのかねえ?

ミハイル・プレトニョフ(指揮)/ロシア・ナショナル管弦楽団
公演期間: 2009/7/4(土)~2009/7/9(木)
http://ent-ja.pia.jp/event.do?eventCd=0859500

●Moscow Symphony Orchestra
http://www.moscowsymphony.ru/

●Symphony Orchestra of Russia
http://www.musiccityattractions.com/russia/statemain.html

上記二つのオケは、Veronica Dudarova 女史が創設した団体だそうな。

この日記を書くために色々ネットで検索していると色々情報が引っかかってきて、参考になるサイトをいくつか見つけた。

【♪KechiKechi Classics♪ 】 ロシアのオケ事情
http://kechikechiclassi.client.jp/russiaoche.htm

パンフのエッセイもそうだが、2002年の朝日新聞の記事をベースにリストアップ(上記サイトでは、2002年3月5日(岡山10版朝刊)の朝日新聞を基に)しているとのことである。上記からさらに詳しい情報サイトに行くことが出来た。

東西南北交響楽団
オーケストラリンク・ロシア
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/6617/orch/russia.html

う~ん、壮観であるなあ・・・

東西南北交響楽団
世界一のオーケストラリンク
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/6617/orch/rightindex.html

こりゃ凄い・・・

ま、こんなとこにしとこ。もう疲れたワ

んでは。

ウラディミール=スピヴァコフ指揮、ロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団 名古屋公演 その52009年06月22日 06時00分

彼らの来日ツアーは昨日で終わったから、そろそろアンコールの印象を書きましょか・・・

まず、ピアノの辻井伸行から・・・

アンコールはショパンの子守歌で、しっとりじっくりと聴かせてくれた。これも良かった。

コンチェルトの印象を振り返ると、お互いアイ・コンタクトが出来ないから、音と気配で相手の出方を掴むしかないわけで、ピアニストはオケと指揮者の気配を懸命に探っているように(僕には)見えた。

そんなにリハの時間も取れないと思われる来日公演だからこそ、あれだけの演奏を行えるというのは、改めてたいしたもんだと思う次第。久しぶりにいいラフ2を聴かせてもらった。

オケと演るのもいいけど、ソロや室内楽の方が彼向きかもしれないが・・・まあ、それは今後のことだ。

一度ソロをゆっくり聴きたいけど、とりあえずこの過熱ぶりが沈静化しないとチケットは容易に取れないだろうなあ・・・10月に彼の名古屋公演が予定されているが、まあすぐソールド・アウトだろう。

辻井伸行ピアノ・リサイタル2009
10/24(土)14:00 三井住友海上しらかわホール
http://www.nagoyatv.com/event/detail.sms?DATA_SEQ=144

さて、スピヴァコフとロシア・ナショナル・フィルのアンコールのことを・・・

アンコールの最初は、チャイコ「白鳥の湖」から「ナポリの踊り」。トランペット・ソロとオケの超絶的な快速テンポに舌を巻く。終わり近くの下降音(ホルン)をユーモラスに吹かせるセンスも洒落ている。アンコール・ショーピースとしてとことん楽しませようということらしい。

お次、チャイコ「くるみ割り人形」から「トレパーク」。これはタンバリンがソロかい?と思えるほどの超絶技巧でやってくれた。嬉々として叩きまくる様は圧巻であった。

最後は、ハチャトーリャンの「ガヤネ」から「レスギンカ」・・・これは凄かった・・・打ちのめされちまったよ・・・凄すぎる

アラム・ハチャトゥリアン(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3

ガイーヌ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%8C

もうホント、なんじゃコイツラは~。無茶苦茶な快速テンポを皆嬉々として弾きまくってる。ヴィオラのねーちゃんなんか、フィドル弾きみたいにニコニコして体を躍らせながら・・・というかヴァイオリンとヴィオラセクションみんながそんな感じで演やりまくっていた。レスギンカのヴァイオリンとヴィオラパートがこんなに忙しいとは・・・

プレイヤーがニコニコしながら演奏するオケは初めて見た。こういう曲好きナンかね?それになんといっても、スネアドラム(スネアはオフにしてあったけど)を叩きまくる、さっきタンバリン叩いてたプレイヤーが、レコードで聴く同曲と明らかに異なるアレンジで、とにかくとにかく面白おかしく叩きまくっていて、オケ全体を相手にソロやっているという感じで猛烈に面白かった。これで「ゴパーク」なんかやってくれたら壮絶だったろう。最後のダメ押しの悪乗りシンバルも・・・まったく、コイツらは・・・面白すぎる。

ということで、このコンビが再来日したらまた絶対聴きに行こうと思った次第である。

ま、こんなとこかな。んでは。