Edison Diamond Disc を聴く その32013年01月03日 19時00分

2013年になりました。今年もゆるりとお付き合い頂ければ幸いです。

さて、新年早々、昔のレコードを聴くのもオツなもの・・・ということで、Edison Diamond Disc を聴く その2 の続きです。

コロムビア「音聴箱」 GP-17ダイヤモンド・ディスク を再生する>

とりあえず、エジソン社ダイヤモンド・ディスク(Edison Diamond Disc)を再生可能な状態までクリーニングしたので、お次は再生です。

使用するプレーヤーは日本コロムビア「音聴箱」 GP-17です。そういえばこの機種、2005年10月に店頭展示品を1万数千円程度で購入したんだっけ。プレーヤーについていた針+交換用サファイヤ針をオマケに付けてもらったっけ。

コロムビア 音聴箱 GP-17
残念ながら、この「音聴箱」シリーズは惜しまれつつも生産終了となってしまったが、流通在庫なり中古なりで入手出来るかと思うし、ちょっと値は張るけど、CD-Rプレーヤーとカセットデッキが付いて録音も出来るTEAC LP-R550USBという機種もある。

こういう機種の何が良いかというと、特別なオプション無しに手軽に78回転盤(SP盤)が聴ける・・・ということです。ただ、付属のサファイア丸針 DENON SJN-75(0.5ミルと思われる)なりアーピスのダイヤモンド交換針(0.5ミルダイヤモンド丸針)でも78回転盤を聴けますが、針の寿命は短くなりノイズも多めに出るので、よりきちんとした音を聴きたければSP用ダイヤモンド針(DENON DSN-75SP たぶん2.5ミル程度、市況価格2千円~3千円程度)を用意すべきですな。

<2012年1月6日追記修正>
 ちなみに、milとは千分の1インチAngular milミル(角度))とは異なる)
のことで、レコード針Stylus:スタイラス)の場合、針先端の形状(丸針:Spherical,Conical,は球面、楕円針:Elliptical は楕円)に対する半径を示す。

例えばこんな感じ
Shure Model M78Sの丸針。2.5milですな。
 Polished, natural diamond
 Spherical 64 μ (0.0025 in.) radius
 
Shure m97xe の楕円針。0.2×0.7milですな。
 Polished, natural diamond

 Elliptical 5 x 18 m (0.0002 x 0.0007 in.) radii

さらに特殊なシバタ(4ch)針等については下記ご参考(Wikipedia Phonograph Styil より引用)

 Other advanced stylus shapes appeared following the same goal of increasing contact surface, improving on the Shibata. Chronologically: "Hughes" Shibata variant (1975), "Ogura" (1978), Van den Hul (1982). These styli are marketed as "Hyperelliptical" (Shure), "Alliptic", "Fine Line" (Ortofon), "Line contact" (Audio Technica), "Polyhedron", "LAC", and "Stereohedron" (Stanton).

 A keel-shaped diamond stylus appeared as a byproduct of the invention of the CED Videodisc. This, together with laser-diamond-cutting technologies, made possible "ridge" shaped styli such as the Namiki (1985) design, and Fritz Gyger (1989) design. These styli are marketed as "MicroLine" (Audio technica), "Micro-Ridge" (Shure), "Replicant" (Ortofon).


 ステレオLPが出た当初、モノラルLP用針は1ミル、ステレオは0.7ミルが推奨されていたようだが、多くのステレオカートリッジの丸針は0.5ミルが採用されているようだ。

針先形状については、日本精機宝石工業㈱レコード針が解りやすいのでご参考にどうぞ。

GP-17のカートリッジ(ピックアップと言うべきか?アームから取り外すのは困難なので実質交換不可能)はハイファイ・オーディオ用の電磁発電方式(MM,MC,IM,VM等)では無く、圧電素子(セラミック)を使ったタイプで、昔の「電蓄」の趣がありますが、出力電圧が高く(MMの数mVに対して数V程度)、出力は原理的に周波数に関わらず振幅に比例(流石に周波数フラットとはいきませんが)するので、電磁発電方式のような極端なイコライズやらフォノ・アンプの如くのハイ・ゲイン・アンプは要らないので回路が簡素に済むという利点があり、それが音のイキの良い理由かもしれません。

操作パネルも簡単そのものの日本語表示。左のつまみで33・45・78回転を選択し、右のボリュームが電源スイッチも兼ねる経済設計。

コロムビア 音聴箱 GP-17 プレイヤー部
日本コロムビア「音聴箱」 GP-17 プレイヤー部

前面の7.7cmフルレンジ2発(左右でステレオ)が付いたキャビネットはスピーカー・ボックスと電源・アンプ(3.5W+3.5W)・プレーヤー駆動部(ベルトドライブ)の収納ボックスを兼ねている。このボックスの箱鳴りと容積を旨く生かして結構ボリュームのある低音を再生することが出来る。これで聴く78回転盤の音はなかなかのもの。アコースティックの蓄音機と異なり、夜でも静かに聴ける。

ハウリング防止の為、プレーヤー部分はキャビネットとはスプリングでアイソレートされている。プレーヤーはマニュアルでリフター付き。ピックアップをレコードの導入溝まで移動するとターンテーブルが回転する経済設計。アームレストまで戻せば回転は止まる。

ピックアップの指掛けが使いにくく、針を落とすのは大丈夫だが演奏終了後に拾い上げるのはちと大変(指が引っかからない)なので、(おもちゃみたいな)リフターでアームを上げてからアーム・レストへ戻す。トーンアームもおもちゃみたいなパイプアームだが、これでもちゃんと機能を果たしているのだから大したものだ。

なお、スピンドルはプレーヤーベース(よく解らないけが)に固定されており回らない。固定され回らないスピンドルに穴の空いたターンテーブルスポットはめ込みベルト駆動している・・・そういう設計のプレーヤーなのだ。だから、残念ながらソノシートは大抵再生出来ない。ターンテーブルが回ってもスピンドルの穴でがっちり固定されてスリップして回転しないという事態に(T_T)・・・

閑話休題

それでは、再生について。ディスクが分厚い(5mm)ので、
 「アームの腹にディスクが当たる」とか
 「アームの頭が上がりすぎる」とか
 「盤面とピックアップの角度はどうか」など、
色々心配しましたが、やってみればまあまあ上手くいきました。ちょっとアームの頭が上がり気味ですが、まあ、許容範囲でしょうか。


音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
日本コロムビア「音聴箱」 GP-17Edison Diamond Disc 再生中・・・
ちょっとアームが上がり気味かな?

音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生中
日本コロムビア「音聴箱」 GP-17Edison Diamond Disc 再生中・・・
ピックアップの腹も盤面に擦れてないし、針の当たり具合も悪くない

音聴箱 GP-17 で Edison Diamond Disc 再生
日本コロムビア「音聴箱」 GP-17Edison Diamond Disc 再生中・・・
ピックアップをリフトアップしたところ

Edison Diamond Discの適用出来るダイヤモンド針について、下記サイトによると・・・

Tim Gracyk's Phonographs, Singers, and Old Records
  -Edison Diamond Discs: 1912 - 1929

  To play Diamond Discs on vintage equipment (they play at 80 rpm), one must use a diamond stylus designed by Edison engineers. A diamond stylus lasts a long time but not forever, so today's Edison machine owner should inspect the stylus to see if it needs replacing. The radius for Edison styli is 3.5 mils or .0035 inches (according to files at the Edison National Historic Site), though some collectors claim that 3.3 mils also gets good results.

標準的な78回転の針(鉄針)の先端曲面半径は3ミル程度だそうな。現在発売されているSP用カートリッジ装備されているダイヤモンド針の多くが2.5ミルを採用しており、恐らくこの音聴箱用SP用ダイヤモンド針(DENON DSN-75SP)も2.5ミル程度で製作されているだろうから、まあ少なくとも音溝の底をガリガリすることは無いだろう・・・というところ。

<2012年1月6日追記修正>

 ちなみに、現在発売されているSP用カートリッジに装備されているダイヤモンド針の多くが2.5ミルを採用している理由は、下記の通りだそうな。

 ・鉄針(3ミル)でトレースされ荒れた部分を避ける。
  基本的に78回転盤で「新品」はあり得ないので。
 ・LP直前に出来たVG盤の規格が2.5ミルであり
  その互換性を考慮。
  <出典>SPレコード誌 No.3 1972年10月出版
  最新の技術で最良の演奏を
  ~SPを”ステレオ”で聴く方法~ 朝倉 収(対談)

但し、これは78回転盤の溝の状況(新品か否か、また生産時期やメーカーによっても異なる)によりケース・バイ・ケースのようだ。ちなみに、78回転盤の溝底の半径は1ミルだそうなので、これをLP用の針(0.5ミル0.7ミル)でガリガリ底を削ると盤を著しく痛めるのだそうだ。つまり、3ミル程度の鉄針での再生を想定して作られているので、硬い細い針でかけると宜しくないのだそうだ。(前述
朝倉氏の対談記事より

最近は2.5ミル以外の針先のカートリッジも発売されている。

YTVS(ヨコハマテレビサービス) Audio
ナガオカ/MM型SP用カートリッジ
MP-11HJSP/MP-11JSP
 カートリッジの発電機構・出力はステレオだが、交換針が3種類(標準3ミル,3.5ミル,4ミル)用意されているのは興味深い。また、針圧テストデータについての記述も参考になる。純粋なモノラルカートリッジでは無いものの、出荷時に縦振動成分をLRでショート(「R+とL+を短絡」「R-とL-を短絡」)して擬似モノラル出力にするサービスもあるそうなので一考する価値はあるかも。
 ちなみに、このエジソン・ディスクのような縦振動ディスクの場合は、「R+とL-を短絡」「R-とL+を短絡」した上で方チャンネル(LRどちらでも良いが)の出力をひっくり返す必要がある。

 このように出力コイルを並列接続すると、フォノアンプから見たカートリッジの出力インピーダンスは半分になるが、カートリッジから見たフォノアンプの入力インピーダンスも半分になるから・・・いいのかなあ?

 あと、音のエジソンというメーカーが 3ミル~4ミルの丸針を装着したSP用カートリッジを販売している。こちらも面白いが、当然のことながら発電機構が横振動モノラルなので、縦振動モノラルは再生出来ない。

とりあえず音は出たが、もう一つ解決すべき課題がある・・・その4へ(たぶん)続く

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