Bartók Piano Concerto no.3, Sándor & Ormandy/Philadelphia 1946年2011年11月17日 05時45分

何故かバルトークを聴きたくなったので・・・

Columbia ML4239 Jacket Cover
Columbia Masterworks ML4239 Blue Label LP
Bartók : Piano Concerto no.3
Miaskovsky : Symphony no.21
György Sándor (Piano)
Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
recorded 1946/04/19(Bartók ), 1947/11/22(Miaskovsky)
※録音日データはYokotaさんのオーマンディ・ディスコグラフィより

バルトークピアノ協奏曲第3番は彼の未完成作の一つ。(もう一つはヴィオラ協奏曲)最後の17小節はバルトークの友人Tibor Serly が完成させたとLPの解説に記されている。

Wikipediaによると、

Bartók died on September 26, 1945, with the concerto unfinished. The task of completing orchestration of the final 17 measures, drawing from Bartók's notes, was taken on by Tibor Serly, a friend and pupil of Bartók, Eugene Ormandy and a few others.

It premiered in Philadelphia on February 8, 1946 under Hungarian conductor Eugene Ormandy with György Sándor as piano soloist.

恐らく、初演にあたりOrmandy は当事者としてスコアに手を加えたのではないかと思う。マエストロ自身バルトークが先生をやっていたハンガリーのロイヤル・アカデミー出身(教授もやってたし)だし・・・Sándorもスコアの手入れに加わったのかもしれないが・・・このLPの演奏は1946年2月の初演後、同年4月に同じ面子で録音されている。勿論、同曲の世界初録音である。初演時のライブ録音が遺っているかどうかは知らない。

収録場所は Academy of Music と思われる。デッドな音響だし。まだ磁気テープ録音が導入されていないので、ディスク録音(one-off 16-inch 33⅓ rpm lacquer discs - Wikipedia LP recordより)だろう。米コロムビアは1940年代初めより、直径40cmのブロードキャスト・トランスクリプション・マスターをセッションに使い始めていたそうで、これだと1楽章中断無しでディスク・マスターが作れるそうな。(「レコードの世界史」岡俊雄 1986年 音楽之友社 より)

平林直哉著 クラシック名曲 初演&初録音事典(大和書房 2008年3月) によると、78rpm盤はLX1271~3の3枚組で出ている。(CDはperl GEM0173)ちなみに、Sándor は後年 ギーレンとこの曲を再録音しており、一般的にはそちらの方が有名だそうな・・・

日本コロムビア 商標使用許諾シール
ジャケットデザインの名前は日本コロムビアの商標使用許諾シールに隠れているが、この特徴あるジャケットデザインは Alex Steinweiss の手によるものと直ぐに判る。この当時のColumbia Masterworks のジャケット・デザインは彼のものが多い。Wikipedia によると今年の7月に94歳で亡くなられている。彼のデザインに興味のある方は、For the Record: The Life and Work of Alex SteinweissAlex Steinweiss: The Inventor of the Modern Album Cover を見られるのが良いだろう。

Columbia ML4239 Jacket Notes
簡素な解説だが、このピアノ協奏曲第3番の初演までの過程が記載されている貴重な資料でもある。

Columbia ML4239 Blue Label
レコード・ラベルはColumbia MasterworksBlue Label

当時のフラット盤なので、盤のノイズが多いのは仕方が無いが、明晰な録音で鑑賞にそれ程支障は無い。バルトークピアノ協奏曲第3番を聴くのはこれが初めてだけど、彼の曲としては聴きやすいと思う。長調?の明るい曲というのが第一印象・・・顰めっ面ばかりの曲を書いていたバルトークさん、どうしちゃったんですか?という感じ。(偏見です。スイマセン)

残念ながらこの演奏、CDはperl(GEM0173)しか無さそうだが、入手は難しそうだ。NMLEugenistPristine Classical 等でも復刻していないようだし、となるとLPを探すしかない。初演者による貴重なドキュメントだと思うのでCD化を希望する次第。

ニコライ・ミャスコフスキーの交響曲第21番がなぜカップリングされているのかはよく判らない。マエストロ・ジーンが初演したわけでもなし。悪い曲ではないが・・・たまたま、フィラデルフィアの定期で取り上げた曲で、準備万端だから録っちゃえ・・・なんて・・・

LP解説によると、米国初演(というか初放送)は1942年8月、バーナード=ヘルマン指揮コロムビア放送交響楽団(たぶんCBSお抱えのオケか臨時編成オケか?CBS交響楽団とするべきか・・・)とのこと。