ストコフスキー フィラデルフィア管弦楽団復帰演奏会ライブ 1960年2月23日 ― 2013年09月20日 04時00分
Wagner:Symphonic Synthesis from ‘Tristan und Isolde’
- Love Music from Acts II and III (arr. Leopold Stokowski)
Leopold Stokowski/The Philadelphia Orchestra
Academy of Music, Philadelphia, 23 Feburuary 1960
このCD、(株)東京エムプラス扱いで日本語の帯が付いている。CDの音源は、Enno Riekena(The Leopold Stokowski Site)氏によるもの。恐らく、フィラデルフィアのラジオ局WFLNの放送録音テープのコピーか、或いはその放送のエアチェックか・・・
・・・フィラデルフィアのラジオ局WFLNは、1949年にクラシック音楽専門FM局(95.7MHz)として開局し、1956年に同じプログラムを流すAM局(900kHz)も始めている。1985(1988年?)年に売却されてWDVTと変わり、1995年~1997年は少なくとも5回以上売却が繰り返されて、放送内容もよりコマーシャル向き(クラシック音楽は減っていったと思われる)に変わっていった。
そして1997年に現在のオーナーに売却され、クラシック音楽のアーカイヴはWRTIに売却され現在はWBEN-FM となっている。(以上、Wikipedia WFLN、WDVT、WBEN-FM、WRTI の記載より引用)
ファンとしては、WRTIに売却されたクラシック音楽のアーカイヴ・テープが気になるところである。恐らく、フィラデルフィア管弦楽団の放送録音がここにあるはずなので、ちゃんとデジタル化して後世にその遺産を継承して欲しいものだが・・・
オーマンディ/フィラデルフィアのすべて (日本コロムビア 1967年3月) の「ラジオとテレビのフィラデルフィア管弦楽団」-「フィラデルフィア管弦楽団の放送サービス」によると・・・
「1960年~1961年のシーズンに、フィラデルフィア管弦楽団協会は、放送サービス事業を開始し大成功を収めている。Academy of Music での実際のコンサートが現場録音され、フィラデルフィア管弦楽団の副指揮者 William Smith の解説と紹介を付けて、番組は完成される。
このテープは予約した全米の各放送局に売り出され、それぞれ地方のコマーシャル・スポンサーによって毎週放送される。こうして新しいシーズン毎にフィラデルフィア管弦楽団と一流の客演ソロイストによる二時間のコンサートシリーズ番組が手今日される。・・・」
・・・とある。これらの放送テープはフィラデルフィア管弦楽団協会(POA)かWRTIのマスターとそのコピーが全米各地の放送局に存在すると思われるが・・・これらの貴重な演奏が何らかの形で聴けることを願う。
同著によると、オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団はアメリカで最初にテレビに出演した一流交響楽団であり、その放送は1948年3月20日、CBSの一時間半の番組だったそうな。その様子は、Penn Libraries の Coming to the Small Screen: Ormandy on Television にて確認出来る。(Eugene Ormandy - A Centennial Celebration- もご参考に)
閑話休題
かつて、「フィラデルフィア管弦楽団という天下の銘器は、ストコフスキーによってつくられ、オーマンディによってかき鳴らされる」と言われたらしいが、このCDでは「オーマンディ時代のフィラデルフィア管弦楽団をストコフスキーがかき鳴らす」のを明瞭なステレオ録音で聴くことが出来る。当時の指揮者は自分の音をオーケストラに(良い意味で)「押しつける」事が出来る実例であろう・・・明らかにオーマンディとは異なるストコフスキーの音がここにある。
一つ残念なのは、過度のノイズ除去により音の生気が減退していること。願わくば、もう一度マスタリングをやり直してリリースして欲しいものだが・・・音のレストレーションの難しさを痛感する次第。
ネゼ=セガン&フィラデルフィア管弦楽団/ストラヴィンスキー&ストコフスキー ― 2013年09月20日 05時50分
『ネゼ=セガン/ストラヴィンスキー&ストコフスキー』
ストラヴィンスキー「春の祭典」(1947年版)
ストラヴィンスキー(ストコフスキー編):パストラーレ
J.S.バッハ(ストコフスキー編曲)
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
小フーガ ト短調 BWV578
2013年3月 フィラデルフィア キンメル・センター、ヴェリゾン・ホール
数多の名録音・名演奏がひしめく「春の祭典」をアルバムのアタマに持ってきた・・・それは「ストラヴィンスキー&ストコフスキー」のタイトルが示すとおり、今後のネゼ=セガンとフィラデルフィア管弦楽団の行方を占う一つのヒントになるだろう。
それはさておき・・・
久々に、手元のB&H1967年版を片手に「春の祭典」を聴いたが、難曲の時代は過ぎて本当に「古典」になってしまったなあ・・・と実感。数多の名録音・名演奏がひしめく「春の祭典」で一頭地を抜く・・・を期待する時代ではないが、これはなかなかの名演だ。出来れば1947年版スコアを片手に聴きたいところだが、ネゼ=セガンとDGプロデューサーの狙いが何なのかを考えながら聴くのは実に楽しい。
ストコフスキー編曲のバッハ・・・フィラデルフィアの新録音はサヴァリッシュのEMI盤以来だが、これも素直にフィラデルフィア・サウンドを楽しめる。弦を主体としたオーケストラ・サウンド・・・ストコフスキーが形作りオーマンディが維持し磨き上げたフィラデルフィアのサウンド・コンセプトをDGプロデューサーとネゼ=セガンはちゃんと理解してそれを押し出しているようだ・・・
パストラーレを最後に持ってくる配慮・・・一つのアルバムとして完結するプログラミングもなかなかのもの。これがフィラデルフィアとのファースト・リリースであるという意気込みを感じるではないか・・・今後の展開に期待したい。
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