2011年 私的 マストロ・ジーン トピックス2011年12月31日 13時45分

2009年2010年 に引き続き、今年も「私的 マエストロ・ジーン トピックス」を振り返る・・・

●祝!オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団による
 ベートーヴェン交響曲全集CD化 (その1その2


Columbia D7S 745 Box

いやはや、一昨年のブラームス交響曲全集に引き続き、こんな超弩級の大物復刻が出るとは全く以て驚きである。タワーには感謝あるのみだなあ・・・

クラシック・ジャーナル クラシック音盤白書2012 の「レコード会社が語る」-「タワーレコード・オリジナル」ではこの盤の話題で1P割かれている。まさか、クラシック・ジャーナルでオーマンディ盤が取り上げられるとは思わなかったなあ・・・ちなみに、今回のこのベートーヴェン全集は凄い売れ行きらしい・・・



●Ormandy/Philadelphia テレマン:協奏曲集&ヘンデル:水上の音楽

Sony Music SICC-1494
2003年に発売された BMG FUNHOUSE ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団の芸術 Vol.Ⅲ特典盤2枚 の内の1枚の一般発売化。

タワーレコード“RCA Red Seal”スペシャル・セレクション
http://tower.jp/article/feature_item/80725
テレマン:協奏曲集&ヘンデル:水上の音楽
Sony Classical SICC-1494

クラシック・ジャーナル クラシック音盤白書2012 の「レコード会社が語る」-「タワーレコード・オリジナル」でもこの盤の事がちらりと・・・


レコード芸術 連2011年6月号~2012年2月号
  「欧米批評家によるレポート」アメリカTheodore W. Libbey Jr.氏
  「高音質CDリイシュー盤の音質」
①~⑨

 久しぶりにレコ芸を読むきっかけになった記事である。アメリカTheodore W. Libbey Jr.氏による連載は以前から続いているが、2011年6月号からこの「高音質CDリイシュー盤の音質」というテーマで執筆、来月の2月号でこのテーマはおしまいにするそうだが・・・10月号~1月号迄の⑤~⑧はオーマンディとフィラデルフィア管弦楽団に関する興味深い話となっている。

⑤から・・・「・・・僕にとってフィラデルフィア管は、定期的に演奏会に通い、生身で”知る”ようになった初めての一流オーケストラでした。・・・あの頃、フィラデルフィア管が定期的にボルティモアに来ていたことも、幸いでした。彼らはリリック・シアターで年間6公演を行っており、午後の汽車で来て、演奏会をして、夜のうちにフィラデルフィアに帰っていきました。・・・のちに知ったのですが、彼らの本拠地フィラデルフィア音楽アカデミーは音響がひどかったので、リリック・シアターで聴く方がずっと良かった-名高い”フィラデルフィア・サウンド”まさに全開の演奏が聴けたのです。・・・」

なんという羨ましい話であろうか・・・

氏によると、「・・・オーマンディとフィラデルフィアがともにあった44年間のうち、後半の23年間(1968年にRCA専属に戻ってからですな・・・)に作られたステレオ録音は、控えめに言っても、音響的に一貫性がありません。」

これは当たっているな・・・

さらに氏曰く「・・・日本製のリイシュー盤CDについては、リイシューを手がけるレコード会社(ソニーとBMG/JVC)のアプローチも一貫性を欠いてきたようなので、整理が更に難しい。・・・」

1999年から2003年の間に3回に分けて発売された日本BMGによる「オーマンディ&フィラデルフィアの芸術」シリーズを除けば、当たっているな・・・私のホームページでも結局整理しきれなかったしね・・・

⑥から・・・米Columbia専属時代、1957年から60年頃迄はブロードウッド・ホテルのダンスホールを録音会場に使用。アカデミーとは対照的に低音が響きすぎて、鮮やかな音色が聴き取りづらいものになった・・・とのこと。1960年代初頭にはまたアカデミーへ戻っての録音を試み、さらにフィラデルフィア・アスレチック・クラブのダンスホールも試みたが出来は今ひとつ。次に試したタウン・ホール(RCA時代はスコッティッシュ・ライト・大聖堂と名前が変わる)でようやくまずまずの音質が得られたとのこと。

フィラデルフィアのダウンタウンにあるこのタウン・ホールは、1926年築の窓のほとんどない大きな建物で、1926席のオーディトリアムがあり、コロンビア時代は1962年~68年にここが録音会場となった。(このタウン・ホールについては色々資料を当たったが関連する記述が殆ど見つからなかったので、この連載の記述は興味深い。ちなみに、1996年当時には取り壊されて駐車場になっていたそうな。)


⑦は、録音会場を音楽アカデミーに戻した事による失敗談。1968年、RCAに復帰したオーマンディとフィラデルフィアは音楽アカデミーに戻って録音するが、これは悲劇的な失敗に終わったそうな・・・

この時のRCA Red Seal のプロデューサーは名高い J.ファイファー、アカデミーの残響の少なさを補うため、一端収録した音を舞踏室で再生しエコーを付加した音を収録し、それを直接音にミックスするとい う・・2シーズン続けたが、評価はさんざんで、結局収録場所をタウン・ホールに戻したという・・・

この失敗談、後任プロデューサーのM.ウィルコックスやJ.D.サックスも同じくインタビューで語っている。RCAが収録会場を戻したとき、ブロード・ ウッドホテルはオフィスビルに変わっており、タウン・ホール(この時、宗教団体かどこかの団体が所有者となり、スコッティッシュ・ライト大聖堂と名前が変わっていた)に行くしかなかったという・・・

1978年頃、RCAの専属を離れて、EMI、Telarc、DELOS等に録音するようになると、当時EMIが所有していた Old Met 等も収録会場として使われる・・・

⑧は、日本BMGのCDリイシュー盤の音質・リマスタリングについて疑問を呈している。これも興味深い話だ・・・家にあるCDの音を確認してみようか・・・筆者に全面的に同意しかねる部分もあるが、日本盤・輸入盤を問わず、リマスタリングはオリジナル・セッション・テープに戻ってやって欲しいが・・・これは手間と費用がかかるから、LP用のマスターからCD化というのが多いと思う。それでも、オリジナルからマスタリングをやり直すと素晴らしい結果になるという例(シベリウスの2番)もあるし、こういう実例を見せつけられるとやはり・・・う~ん・・・

さて、来年は何かトピックがあるだろうか・・・

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