バイロイトの「第9」2009年08月15日 11時21分

東芝EMI EAC-60027
東芝EMI/Angel EAC-60027
(西独エレクトローラ社ブライトクランク 疑似STEREO)
Beethoven : Symphony No.9 "Choral"
E..Schwarzkopf(s), E.Hogen(ms), H.Hopf(t), O.Edelmann(B)
W.Furtwangler/Bayreuth Festival Orchestra & Chorus

敗戦日の今日、8月15日に第9を聴くのもこれまた一興・・・

それにしても、このフルトウェングラー・バイロイトの第9ほど、熱心なフルヴェン・ファンを振り回している録音もないであろう。オーマンディ・ファンから見ると羨ましい限りである。こっちは最近これといった話題ないからなあ・・・アカデミー実況録音の「復活」なんて出てこないかしらん・・・

去年(いや、一昨年か?)はバイエルン放送の蔵出し新音源まで出てきて、従来のEMI音源は捏造?という説まで飛び出す始末。この「バイロイト51年問題」(どんな問題だ?)はまだまだ決着が付かないらしい・・・当のバイロイトの住人がどう思ってるかは知らんけど・・・

HMV-交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト
(1951 バイエルン放送音源)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2660451

Bayerischer Rundfunk(wikipedia)
http://de.wikipedia.org/wiki/Bayerischer_Rundfunk

ライブ録音といっても、普通編集くらいするでしょう。1951年のテープ録音だし、ライブ一発とゲネプロ・・・でもフルヴェンは演奏する度にテンポが変わると言うし、そんなのうまく繋がるかしらん?もしうまく繋げる素材テープが揃っていたら、あの崩壊している4楽章の最後を差し替えているのではないかと思うが・・・是非はともかく・・・

それに、テープや機材のS/Nやダイナミックレンジだってたかが知れている。今から見れば乏しい能力の機材で収録している訳だから、ノイズに埋もれぬよう、レベルオーバーしないよう、バランス・エンジニアは大変だったと思うよ。マルチトラックのテープなんか無かっただろうし・・・

エアチェックでカセットテープに録音したりとか、風景をカメラで撮ったた経験があれば、編集とかトリミングとかクローズアップとかは必要悪くらいの認識は持って然るべきのような気がするが・・・

それにしても、正直、このバイロイトの第9のCDは何種類あるのだろうか・・・100種類くらいあったりして・・・買う方も困るワナ・・・

「1951年フルトヴェングラーのバイロイト第9のCDで、一番良いのはどれですか?」と聞かれたらレコード屋さんの店員さんだって困るでしょう。

不可解なのは本家EMIの対応だ。これだけ「板起こし」のCDが氾濫しているということは、「お宅のCDの音は悪い」とケチをつけられているようなものだから、ここで、

「バイロイト第9の本家本元、EMIが威信をかけ技術陣を結集し、オリジナル・テープから丁寧にリマスタリング!これまでの板起こしCDの音など鎧袖一触の鮮明な音でついにリリース!」

・・・とかやれば、絶対入れ食い状態で売れると思うけどなあ・・・それとも、本当にオリジナルテープが劣化してしまったのだろうか・・・

しかし、指揮者本人の想いと世評がこれぐらい食い違う録音も少なかったりして・・・当の指揮者はこのバイロイトの第9演奏翌日、この「酷い演奏」(どうも本人はそう思っていたらしい)を忘れようと気分転換に努めていたそうな・・・(何の本で読んだか忘れちゃったけど、奥さんがインタビューか何かで語っていたような・・・思い出したら追記しときます)

第9のこの曲自体、作曲者本人の想いと世評がこれぐらい食い違う作品もなかったりして。

交響曲第9番 (ベートーヴェン)(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC9%E7%95%AA_%28%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%29

一説によれば、ロンドンのフィルハーモニー協会からの新しいシンフォニーの依頼に間に合わなくなって、それまで作っていたシンフォニー(この第9)と平行して作っていたシラーの頌歌(この熟語なんて読むのかな?)「歓喜に寄せて」に基づく「ドイツ交響曲」を、「時間が足らん!しゃーないからくっつけちまえ」と合体させてしまった「妥協の産物」だそうな。(200CDオーケストラの秘密 金子建志編 立風書房 より)

1楽章から3楽章まで50分近く、折角深遠な雰囲気で続けてきたのを、4楽章冒頭で突如全否定して、歓喜の歌を歌いましょう・・・ってそれまでの50分はなんだったのよ、一体・・・

・・・安直な筋書きだけど、まあ良い方に取って「君子豹変」のヘンテコ・シンフォニーになってしまったということかしらん・・・

それでも、作曲者の手を離れて180年以上経った現在は名曲という扱いで、もしかしたら作曲者は草葉の陰で赤面しているかも知れない。

ま、作曲や演奏の経緯はどうでも良いのであって、出来たものが

「旨いか不味いか」 (C)包丁人味平

結局コレしかないのよね。

ということで、バイロイト第9のLPを聴く。このLPは100円セールで買ったもの。盤の状態はすこぶる良い。74分を1枚のLPに詰め込みカッティングしており、3楽章は両面にまたがっているが、音はまあまあイケルと思う。

CDもあるんだけど、平成の盤鬼!平林氏によれば、「たいていのフルヴェンの演奏はCDよりLPの方が良い音で聴ける」そうだから、LPを聴くわけ。100円セールでめっけたのは運が良かった。

西独エレクトローラ社のブライトクランク方式による疑似ステレオで、なんとなく広がり感があってなかなかいい。世評はあんまりよくなさそうだけどねえ・・・

そういえば、国内盤には「足音入り」というLP・CDが出ていたと思う。あれを初めて見たとき、出前一丁の「ごまラー油入り」を連想したのは俺だけだろうか・・・

出前一丁(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E5%89%8D%E4%B8%80%E4%B8%81

なんといっても、かの偉大なフルトウェングラー御大の足音であるからして、有り難みも倍増・・・という気もしないでもないが、何故か国内盤だけにしか入ってないらしい。他の国では巨匠といえども足音なんぞ要らんということであろうか・・・

なんといっても終戦後再開された最初のバイロイト祝祭(だよね?)の歴史的な録音だし、寄せ集めのオーケストラとしては結構熱が入ってる。

バイロイト祝祭(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%88%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E7%A5%AD

3楽章のホルンは音程のヘンテコな揺らぎで笑える。あくびをしているような変な音で折角の雰囲気がお笑いに・・・これはテープ素材があったら差し替えるべきキズだが、素材がなかったのだろうか・・・

4楽章の合唱とソロはなかなかいい。合唱はそう上手くないけど気合いが入っているのがわかる。最後の疾走は速すぎて失踪?というか、アンサンブルはバラバラで終わりも尻切れトンボ・・・熱演が空転しているという感じだが、きっと演奏会場にいた人たちには手に汗握る瞬間だったに違いない。レコードで冷静に聴けるシロモノかどうかはまた別問題だけど・・・

結局、名盤オンチの小生には、「空前絶後の世紀の名盤」とまで言えるのかなあ・・・と思うのだけど、これだけ絶賛・支持する人がいるのだから、きっとそうなのだと思う。また10年後に聴けば良さが分かるかも知れない。

んでは。

コメント

_ リベラ33 ― 2009年08月15日 13時54分

ここに書かれていること、誠に至言であります。私が日頃ひとりモンモンと思っておりましたことが全て書いてあります。これをもってもはや私の拙いブログはその使命を果たしたと感じますですヨ。

_ りん ― 2009年08月15日 23時12分

いえいえ、 Mr.リベラ33 のブログに触発されて、改めて聴く気になったんです。個人的には、フルヴェンのバイロイト51年度モノの第9より、EMIのエンジェルマークの変遷の方に興味があるのですが・・・(本家はニッパー君ですが・・・)

それにしても、オーマンディ・ファンには羨ましい限りです。アカデミーの実況録音が全てCD化されたら・・・とか、来日公演がビデオ化されたら(スヴェトラ関係はそうなってきてますねえ)なんて、つい夢想してしまいます。ああ、ホント、羨ましい・・・

では。

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