魅惑の La Valse ― 2009年08月08日 06時00分
The Phladelphia Orchestra European Tour 1975.
To Commemorate the 125th Anniversary of PENNWALT Corporation, The 75th Anniversary of the Orchestra and The 75th birthday of Eugene Ormandy.
Mahler:Symphony no.1 , Stavinsky:The Firebird
Wagner:Tannhauser (Overture and Venusberg Music)
Ravel:La Valse, Moussorgsky:Pictures at an Exhibition
オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団による1975年のヨーロッパツアー記念企画盤、そしてマエストロの75歳の誕生日と、このツアーのスポンサーである PENNWALT Corporation の創業125周年 もあわせて記念したものであろう。
PENNWALT Corporation
http://www.pennwalt.com/
このLPは通常の商業リリースLPとは異なり、 RCA Special Products という形で出されているので、関係者への限定配布・発売のものと思われる。
このLPは 8年前ほど前に ebay のオークションで競り落としたもの。当時は例の事件もあって、手元に届くのに時間がかかったなあ・・・
例の事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/9.11
1975年ヨーロッパツアーのライブ音源でも入っているかな?と期待したけど、RCA Red Seal のセッション録音の寄せ集め(ツアーで演奏した曲でもなさそう・・・)で期待はずれ・・・と思いきや、日本未発売 の ラヴェルの La Valse があり、予期せぬ収穫にびっくり。 ebay のオークションではそこまでの情報は分からなかったからねえ・・・
この、La Valse 、今はタワレコの RCA Precious Selection 1000 第2期 のCD化により千円で手軽に聴けるが、8年前はLPもCDも入手困難だったので、この「アイスボックス」録音を初めて聴いたときは感激してしまった。
TWCL-2015, ravel's orchestral works by great conductors
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=864382&GOODS_SORT_CD=102
Ravel:La Valse[1971] *first commercial CD release
and other pieces by other conductors(Munch,Reiner,Montoeux and bernstein)
といっても、このタワレコのシリーズは、今、在庫一掃セール中でなくなり次第販売終了なので、興味のある方はお早めに。
タワーレコードオリジナル企画
BMG JAPAN x TOWER RECORDS “RCA Precious Selection”
~ALL 20%オフ!
http://www.towerrecords.co.jp/html/tower/re/rca_hqcd.html
2003年末に発売された、 BMGファンハウス/RCA Red Seal による「Eugene Ormandy & The Philadelphia Orchestra の芸術 vol.III 」特典盤としてCD化(BMGファンハウス CTB-1003)されてもいたが、これは非売品。上記のタワレコCDが出るまでは入手困難な「名演」であったのだ。
本国アメリカでも事情は似たようなもので、上記特典盤の解説によれば、初出LPはまさにこのツアー企画盤で、商業LPリリースは1977年に発売された3枚組LP CRL3-2182 "The French Album"。1971年の録音にもかかわらず、4年以上「塩漬け」にされていた気の毒な演奏でもある。しかも、日本以外では恐らく現在に至るまで未CD化・・・勿体ない
このツアー企画盤の3枚組LP、何故かオートチェンジャー仕様の面割りとなっている。
RECORD1
↓ Side A Mahler Symphony no.1(Part1)
↑ Side F Mussorgsky Pictures at an Exhibition(Conclusion)
RECORD2
↓ Side B Mahler Symphony no.1(Conclusion)
↑ Side E Ravel La Valse, Mussorgsky Pictures at an Exhibition(Part1)
RECORD3
↓ Side C Stravinsky Firebird suite
↑ Side D Wagner Tannhauser(Overture & Venusberg Music)
マーラーとムソルグスキーは曲が2面にまたがっているので、手動演奏では面倒なことになるが仕方がないか。アメリカではオートチェンジャーのLPプレーヤーが普及していたのだろうと思うが・・・
さて、肝心の La Valse について・・・ この演奏を聴くまで、この曲のどこがよいのかさっぱり分からなかった。オーマンディ/フィラデルフィアのこのRCA Red Seal 録音でこの曲に開眼したのだ。
優美さと陰り・・・エレガンスとグロテスクの同居というべきか・・・。この曲については、よく「ウィンナ・ワルツへのオーマジュ・・・」などという解説があるけど、いったいこの曲のどこにそんなものがあるのか?といつも疑問に思っていた。こんな解説を書く奴は、曲を聴いていないか何も考えていないかのどちらかと思っていたが、下記 Wikipedia の解説を読んで、ようやく、そうだろうなと納得した次第。
ラ・ヴァルス(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B9
モーリス・ラヴェル(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB
クライマックスの手前、音階をゆっくり上昇していくところなど、爆撃機の急降下エンジン音とか、産業機械のモーターの唸りとか、そんな音のイメージなんだな・・・焦燥と不安と優美さがラヴェルの歪んだエスプリ感覚で音化された・・・この曲を聴く度にそういう想いが駆け巡るのだが・・・
そういった要素が過不足なく高度に realization されたのが、この1971年の録音のオーマンディ/フィラデルフィアによる演奏だろう。弾けるシャンパンのようなブラスと煌めく木管・・・優美なハープと弦、ここぞという時に決まるパーカッション・・・奇跡的な名演だと思うが、世評は残念ながらそうではない・・・まあそれはどうでもいい。
無理に薦める気もないが、興味のある方はタワレコのCDをお薦めする。なんと言っても千円だから、万一がっかりしても損害は軽微(大日本帝国軍の言い方だな・・・)だ。
それでは。
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